diary

2010年8月11日(水曜日) 「リストラなう!」と「傷だらけの店長」

★出版ギョーカイのことをウオッチしている(というか濁流に溺れている)私としては、やはりこの2冊を並べて取り上げないわけにはいかない。

リストラなう!
リストラなう!
posted with amazlet at 10.08.11
綿貫 智人
新潮社
売り上げランキング: 3821

 
 某大手出版社で起こった早期退職優遇制度。40代で営業職に務める著者は、わずかな逡巡のうえ、会社を辞めることを決意する。そこからの日々を丹念につづったたぬきちの「リストラなう」日記には、様々な業界関係者から何からが集い、コメント欄は熱い議論と批判と称賛の声があふれかえる・・・本書はそのブログの文章、コメント欄をを単行本化。「電車男」に続けと新潮社が本書の刊行に手を挙げたというのは面白い。
 本書、というかこの著者の魅力は、「大企業病に罹っていることを自覚し、そのことをブログで自らを晒すことによって変わろうとし、もがいている」ところにあると私は思う。確かにこの会社の給料は異常に高いし、こんなに優遇されてる「リストラ」なんてないと思うし、そもそも彼は会社のアレコレを「批判」するだけで、社内で何も改善に向けて動いていない(ように見える)。でも、それは多くの企業従事者は多かれ少なかれ思い当たる節があるんじゃないだろうか。
 たぬきち氏は、会社の歯車の一員として動いてればいい状況下で生じていた、甘えや無知、無自覚といった、普通なら後から気づいたら恥ずかしくて隠したいようなところまでも全部さらけ出し、読者の辛辣なコメントにも愚直に向き合って凹んだり舞い上がったりする。見てて、なんかこちらも恥ずかしくなる。だけど、これって自分も同じような状況なんだ。自分は単に恥ずかしいところを隠して取り繕ってるだけなんだ。
 

傷だらけの店長 〜それでもやらねばならない〜
伊達雅彦
パルコ
売り上げランキング: 11217

 
 ある書店チェーンの雇われ店長として働く著者は日々激務と格闘している。さばききれないほど増え続ける商品、理不尽な客、万引との戦い、手のひらを返す対応の取次や出版社、現場の意向を汲まずにコストカットとノルマ達成を厳しく追及する本部・・・くじけそうになったり、頭に血が上ったり、自問自答を繰り返すたびに、著者は「本を売る喜び」を思い起こし、「それでもやらねばならない」と無理に気持ちを奮い立たせるのだった・・・ある、大型書店が、すぐ近隣の駅前にできるまでは・・・・・・。
 本書は出版業界紙「新文化」に連載されており、その当時から「業界新聞でこんなの載せるな」「現場店長の心情が痛いほど伝わる」と賛否両論が巻き起こる問題作であった。いま、改めて単行本となった本書を読みかえすと・・・これは単なる「書店現場のブラックな現場告発」を読みとるだけのものではない、という風に私は感じた。本書から非常につらいほど伝わってくるのは「わかっているけど、できない」ことの積み重なりだ。これも程度の多寡はあれ、社会人なら誰でも感じていることだろう。会社や顧客からの理不尽な要求、明らかに誤りで負けると分かっている博打に突っ込んでいかねばならない状況、その時のやるせない気持ち、無力感、焦燥感・・・これは出版ギョーカイ告発本としてではなく、ある種の「文学」として読み継がれるべき本ではないだろうか。

★本書2冊がほぼ同時に出版された、というのは偶然とはいえ非常に面白い。単に「大手出版社は今も好待遇で書店は完全に破綻している」という縮図を読みとるだけなら簡単だ。そもそも両書の装丁の雰囲気が切迫感の差を象徴している、とも言えるだろう。とはいえ、どちらにも共通するのは、今まで続いてきた出版流通の構図が崩壊し、濁流が巻き起こる中で慌てもがく個人の姿だ。私自身、まさに出版の中にいるのでこの抗いようののない流れを切実に感じ入る。自分も木の葉のように流され続けてるだけだ。しかし、伊達氏から「何を甘いことを」と失笑されそうだが、少しでも、何か流れを変えることはできないのだろうか、自分が溺れないよう振舞うだけでなく、少しでも流れを治め整えるることはできないのだろうか・・・と日々思い、僅かながらも声を張り上げたり流れに竿を挿したりしている・・・というかしていきたい。
 これは出版に限らず、いま日本のありとあらゆる産業の中で起こっている事象なのだろう。できれば単なる「ギョーカイ本」としてではなく、広く一般にも伝わるものとして読まれてほしいと思う。

2010年7月28日(水曜日) リュウドの折りたたみキーボードがiOS4に相性良し!

★自分の中でのiPadブームが一段落してしまい、デジタルガジェット熱も少しさめたかな、というところに・・・これが届いてしまって大興奮(いや、もちろん自分で買ったんだけど)

リュウド アールボードフォーケイタイRBK-2100BTJ Ver.2.1(Bluetooth HID、JIS配列) RBK-2100BTJ
リュウド (2008-07-18)
売り上げランキング: 198
おすすめ度の平均: 4.5

5 最高です!
4 初めてのキーボード
5 これは使いやすい
5 i-phoneでも使えます
5 iPadでも使えます。

 
ちょうど「売れ行き2倍」 iOS 4でリュウドの折りたたみキーボードが品薄にというニュースを見たり、ホリエモンが愛用していることを知ったり、ということで気になり注文。運が良かったか私は待たされることなく数日で届いた。ちなみに私はJIS配列のほうのを購入。

WindowsのキーボードをMacで使うことによる違いとか、iPhoneの変換がPCと違うとかで若干戸惑いはあるけど、とにかく入力はすごく快適。また、何せ折りたたみ式でたたむとちょっと厚めの文庫本くらいのサイズになるので、鞄の中に常に忍ばせておくことも可能。Bluetooth接続なので、最初に一度認識させておけば、あとはiPhone立ち上げてキーボードを開けば自動的に接続して使えるようになる気軽さ。

講演会とかで机アリの席に座れれば、Twitter中継が格段に楽になることだろうと思われる。また、Evernoteでメモを取る機会もけっこう増えそうだ。ていうか、これの登場でポメラがヤバいよね。もちろん起動の早さなどではかなわないけど、携帯性の面ではまさに互角。

まだ買ったばかりなので、電池(キーボード本体に単4電池2本必要、別売)の持ちがどれくらいになるのかなど、自分でもわかってないことが多いが・・・iPhoneユーザも増えてきた今、また新たなジマンのタネができたということで。

★とはいうものの、こないだ某女性誌の編集長と立ち話してた時、「iPadはすごく編集作業に使える。特にスタッフと一緒に撮影した写真を並べて粗選びして大ラフを構成するときとか、明らかにiPadを使ったほうがやりやすい」と話していた。なるほど、そういうこともあるのか。他にも「ケータイでメール受信してその場でPDFファイルを見られるのは外で原稿確認したりするのに使える」と言う人も多く、編集者は続々とiPhone/iPadユーザに変わりつつある、といえそうだ。

★と、デジタルものに興奮してしまったので、印刷会社が手を組んだ「電子出版制作・流通協議会」や、同日に発足した「デジタル教科書教材協議会」に関してはあまりコメントする気がなし。関心がないとかではないのだが、何せこれだけいろんな団体が出てくると、今後整理や棲み分けが必要になってくるだろうし、しばらくは意見交換程度の役割が中心で、ここで何かを作る、という感じにはならないだろうから。

★その「電子出版制作・流通協議会」の懇親会でお偉い方々の間をうろうろ歩きまわっていたら植村八潮さんを発見。というわけで『電子出版の構図』の話をちょっとだけする。

電子出版の構図―実体のない書物の行方
植村 八潮
印刷学会出版部
売り上げランキング: 14540

 
前回書いた時はまだamazonに書誌情報があがっていなかったが、今見ると・・・品切れになってるぽい。大丈夫かこの出版社は!でも改めて本書はオススメ。出版の電子化に関する「騒動」は大なり小なり十数年前から連綿と続いてきたのだな、という、歴史というか「流れ」が見える。

2010年7月21日(水曜日) 「読める」電子書籍から「読みたい」「買いたい」電子書籍を作るために。

★いつもの記事とは趣を変え、電子書籍に関して最近自分が考えていることを、だらだら書いてみようという気持ちになってきた。

★電子書籍の世界に飛び込んで丸3年くらい。特に今年はけっこう真面目に電子出版関連の企画を考えたりいろんな会社の人とあったり業界団体の集まりやセミナーに首をつっこんで話を聞いたりしているのだが、「紙の世界」に比べるとまだまだ成熟してないというか、編集者や著者がコンテンツで「競争」できるレベルにも到達していない、という気がしている。

★フォーマットをどうするか、プラットフォームをどうするかというのはあくまでも紙の本を電子化して電子デバイスで「読める」段階にする話、にすぎない。「読める」のレベルを超え、「読みたい」と読者に思わせるものにしていくには、また別の仕掛けが必要だ。電子書籍で商売をしようという自分が言うなら、「(カネを出しても)買いたい」とユーザに思わせるサービスにしなければ、自分たちの米代を稼ぐことはできない。

★そのためには、コンテンツそのものを電子ならではの表現形態にどう発展させていくか、というのも大事だろう(個人的には、安易なリッチコンテンツ化やソーシャル連携には疑問だが、まぁそれは置いといて)。しかし、私自身は「電子書籍をどう売るか」という視点が、現状ではあまりにも貧弱だ、という風に思っている。「読む空間」も重要だが、「買う空間」は同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのではないか。

★現業でお付き合いをしている会社もある中でこういうことを言うのは気が引けるが、残念ながら現在の電子書店を見ていて、私はまったくわくわくできない。自分の知らない新たな商品に出会える喜びとか、自分が思いもよらなかった商品をオススメされる驚きとか、リアルの書店やamazonのようなオンライン書店では実現できていることが、電子書店と呼ばれるサービスでは、まだどこも実現できてないように思われる。

★「本の学校 出版産業シンポジウム」で、植村八潮氏が「iPad版の京極夏彦『死ねばいいのに』って、15000ダウンロードされたというけど、あのうち全文を電子で読んだ人がはたして何人いると思うか?」という疑問を呈されていた。私も、とりあえず買ったが読んでない大多数のうちの一人だ。だけど考えてみると、それって紙の本でも同じなんじゃなかろうか。多くの読書家は「欲しくて買ったもののまだ読んでない」本をたくさん抱えているのではないだろうか。

★つまり、もともと本とは「読書」だけが楽しいのではない。「購書」という行為そのものが、楽しいのだ。

★そう考えると、電子書籍の世界では、まだ「魅力的な購書空間」を演出しているサービスに出会えてない気がする。

★「プラットフォーム事業者」が狙っているのはどちらかというとバックエンドの世界であって、読者と接するフロントエンドの部分ではあまり画期的な発表がなされてない。あるいは、読者との接点としては「端末」のほうに視点が向かっているきらいがある。もちろんハードも重要だし、コンテンツの量も重要だろうけど、そのハードにどんなサービスが載るのか、のほうが読者にとっては本当は重要だろう。

★意識的にか無意識にかわからないけど、そのあたりに気づいているのが、電書部の活動なのだと思う。先週末のイベントには行けなかったが、「電書フリマ」という「電子書籍を買うためのリアルイベント」は、一見変な気がするものの、読者と著者を集めてコミュニティを形成し「電子書籍と出会う空間」を見事に演出している。あるいは、昨今流行っている電子書籍関係の多種多様なセミナー・講演会で、これも「電子書籍ビジネスをやりたい人、不安な人」を集めて一つのコミュニティを形成している。

★「購書空間=擬似的な書店空間」と考える必要もないだろう。リアル書店においても、店売だけでなく「外商」という売り方もある。書店のおやじさんが雑誌を自転車で配達しながら「お、おたくのぼっちゃん、今年小学校だよね、『小学一年生』定期でどう?」というような営業活動を電子書籍でやろうと思ったらどうするか?「お、kajieさんはいっつも電子書籍のことばっかりツイートしてるよね、どう、今週の『週刊東洋経済』はメディア産業特集だよ」とDMしてくるサービス、とかになるのかな。

★繰り返しになるが、デバイスの普及や出版社の努力によって「読める」電子コンテンツが増えてきているのは事実だ。しかし、「読める」ではだめだ。「読みたい」と思ってもらえないといけない。そのためには、単なる二次利用にとどまらない電子ならではのコンテンツの開発も必要だ。しかしそれと同じくらい、いやそれ以上に読者とコンテンツの「出会いの場」を設け、「読みたい」「買いたい」と思っていただけるようなサービス開発が重要なのだと思う。

★で、ここに手を挙げて何かしようという人が、意外に少ないような気がするので・・・自分は出版社にいながらコンテンツを作らない人、というコウモリのような立場にいる人なのだが、そのどっちつかずな立ち位置を利用して、この領域を今年はもうちょっと頑張ってみたいなぁと思う。どこまでできるかわからんが。

2010年7月14日(水曜日) 東京国際ブックフェア、本の学校シンポジウム、電子出版関連書籍レビューetc.

「本の学校 出版産業シンポジウム」はおかげさまで今年も盛況に終わりました。来てくださった皆様、誠にありがとうございました。「本の学校のセミナーはどれもレベルが高い」というお褒めの言葉をtwitter上でも見かけました。重ねて御礼申し上げます。聴衆が出版産業従事者でこの手の問題に関心が高い人、というターゲットがはっきり絞り込まれている上に、利益追求で「客寄せ」をしなければという発想をする必要がないために、肩書き等にこだわらず本当に面白い話をする人、われわれ自身が話を聴いてみたい人をお呼びする、ということで、そのようなご評価をいただくことができているのかもしれません。

★そして、休む間もなく「でるべんの会」も開催、ということで「書棚と平台」の著者でもある、東京大学大学院の柴野京子様をお呼びすることになりました、が・・・なんと、この日記に書く前に、メーリングリストとブログだけで予約が殺到し、わずか数日間で募集を締め切らざるを得ない事態になってしまいました。誠に申し訳ございませんが何とぞ御容赦ください。

★それにしても、2010年の東京国際ブックフェアは「デジタルパブリッシングフェア」の勢いが例年以上に目立つものだった。特に、前日より電子書籍事業に関するプレスリリースを打ちまくっていた凸版印刷、大日本印刷のあたりは平日だと黒山の人だかり。であるが、個人的にはさほど目新しい技術やサービスはあまりなかったなぁという印象がある。どうしても出版社向けの「ソリューション」が中心の展示なので、読者が喜ぶようなわくわくする「サービス」があまり表に出てこなかったのかもしれない。

★本日は、ブックフェア等で販売、先行販売されていた出版産業および電子出版に関する書籍を一挙紹介。それにしても電子出版に関する論考を紙の本で読む、というこのことが、なんとも面白いなぁと思うのだが。

 
「本の学校」の昨年度のシンポジウム内容がまとまった記録集。午前中のトーハン、日販、丸善等の経営トップが集まったメインセッションと、「デジタルコンテンツ流通インフラ」「自由価格本(リメインダー)」「リアル書店の役割」「責任販売・時限再販」に関する分科会の内容が収録されている。改めて読み返すと「あー、35ブックスってあったねぇ」とか、すでに懐かしいと思うことも多いけど、抱えている課題やノウハウに関しては、今でも十分に通じる内容かと思われる。
 

ブックビジネス2.0 ― ウェブ時代の新しい本の生態系
岡本 真 仲俣 暁生 津田大介 橋本大也 長尾真 野口祐子 渡辺智暁 金正勲
実業之日本社
売り上げランキング: 3240

 
今年の本の学校でメインセッションのコーディネーターを務めていただいた仲俣暁生氏も編集に携わる「ウェブ時代における新しい本の生態系」を探る。上記『出版産業、改革待ったなし!』本が「既存出版産業の改革」を描くのに対し、本書で示す「本」は、決して既存産業に縛られるものではない発想からスタートしている。かといって、「iPadで出版が変わる」といった表層的なイノベーション礼賛本でもない。ここで描かれる「ウェブ×出版×図書館=新しい本の生態系」という未来像がどこまで実現できるか、誰がそれを担うのかはわからない、が、数十年くらいたった時に「ああ、あの時言ってたことは本当だった」と評価されるんではなかろうか。
 

電子書籍と出版─デジタル/ネットワーク化するメディア
高島 利行 仲俣 暁生 橋本 大也 山路 達也 植村 八潮 星野 渉 深沢 英次 沢辺 均
ポット出版
売り上げランキング: 9455

 
前述の仲俣氏に加え、「本の学校」の運営委員会中心メンバーの文化通信星野氏、東京電機大出版局の植村八潮氏、ポット出版の沢辺均氏らが一度に出演。2月に行われた「2010年の『出版』を考える」に加え、Web等のインタビュー原稿等を収録した非常に読みやすい一冊。沢辺氏は常々「電子時代になって出版社がいらない、というのならそれはしょうがない」と語っている。「石油を使うようになって、石炭会社のほとんどはなくなった。DTPの時代になって出版社は次々と製版屋や写植屋をつぶしてきた。次は出版社だというのならそれは時代の流れだ」という氏だが、その一方で「出版はとっても面白い状況になっている」(本書前書きより)のだ。そのわくわくする感じは、本書を読むことでも伝わってくる。
 

 
『電子出版の構図~実体のない書物の行方』(植村八潮/印刷学会出版局)

最後に、「本の学校」シンポジウムで電子出版に関しての分科会にご登場いただいた植村八潮氏の単著を。印刷業界の専門誌に12年にわたって連載された原稿を時系列にまとめたものだが、これを読むと電子出版の隆盛と動乱が今に始まったものではなく、形をかえて再三起こってきたもの、その中で環境の変化や出版市場の変化に合わせて、徐々に形を変えつつある状況が非常によくわかり、勉強になる一冊。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏からは「守旧派の代表」として批判を受けている氏だが、本書を読むといかに植村氏が冷静な判断のもとに「紙の本の重要性」を訴えているかがわかるだろう。
ただ、本書がいまだにamazonに書誌情報すら載っていないのはいかがなものか(かろうじてbk1には書誌情報が掲載されている)。小出版社だから手が回らない、ということなのかもしれないが、上記の書籍がきちんとした情報掲出を行っているのに対してみると、残念な、というか脇が甘いとしか言いようがない。ブックフェアで先行発売するくらいならそこまで考えないと。

2010年6月24日(木曜日) 「本の学校」、光ポータブル、パブー、DReader説明会、「100均フリーダム」・・・etc.

★本日から半袖ワイシャツ解禁にしてしまいました。

「本の学校 出版産業シンポジウムにお申し込みいただきました皆様、誠にありがとうございます。予約はまだまだ受け付けておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

★本日はiPhone4の発売日だが、私はいま持っている3GSのアップグレードで我慢。マルチタスク機能とアプリのフォルダ管理が可能になって、以前よりも動きがきびきびするようになった・・・時点で今のところは十分満足。たぶん2011年7月に出るであろう(と勝手に予測している)iPhone4S(仮称)のころには機種変更しようかなと思うけど。

★ずっと気になっていたモバイルWiFiルータ「光ポータブル」を予約。予約開始してることを知らず、〆切一時間前にぎりぎりで申し込んだ。今はイー・モバイルのD22HWを契約していてまだ1年以上縛りがあるので、こちらのSIMカードを挿して使おうと思っているところなんだが・・・うまくいくだろうか。しかし、最長で1か月待ちってのは・・・ずいぶん待たされるなぁ。でもがまんがまん。

電子書籍の制作と販売ができるサービス「パブー」
要注目。いや、ブログサービスと有料メルマガの仕組みをくっつければ似たようなサービスはインターネットの世界にはいくらでもあるんだけど、ePUBやPDFフォーマットの「電子書籍」にできてiPadやKindleでも読める、といったところが流行りっぽくて良い。Web蔵書管理・共有サービスのブクログが手掛けているという所もポイント高い。自分でも何か書いてみようか、というよりは自社でやってる書き下ろし電子書籍をこちらでも卸して売ってみるというのはどうか。

電子書籍のパピレスが上場、買い殺到で値付かず
パピレスがJASDAQに上場。1995年上場の老舗電子書店だが、満を持して拡大路線に、というところだろうか。ここ数年間の電子書籍市場はケータイコミックが牽引しており、その中で文字ものを主力としているパピレスは売り上げこそ大きいもののあまり目立たない存在になっていた。それが今年急に沸き起こる「電子書籍元年」の波に乗ってきた、というところだろうか。でも、これだけ利益が出てるなら、もうちょっと出版社への戻し正味は多くても・・・いいんじゃないかな・・・と誰にともなくつぶやいてみる。

★繰り返しになるが、とにかく「iPadの衝撃」はすごかった。著者が次々問合せをして「はやくiPadで出してくれ」と頼んでくるわ、今までまったく関心を持たなかった広告営業の人たちが乗り込んでくるわ・・・えーと、今までPCやケータイでやってることと変わらない、んだけどね。むしろiPadの普及台数を考えると、大して売れないと思うんだけどね。でも、この熱気は重要なので、のぼせない程度にあったまった状態で走り続けたいもんだ。

ダイヤモンド、出版社向けに「DReader」使う電子書籍作成ソリューション
非常に売れ行きが好調なダイヤモンド社のiPhone版電子書籍。その読書環境を実現している「DReader」が外部出版関係者向けに公開されることとなった。その発表会には私も赴いたが、確かに中小出版社や編プロの人たちが多かった模様。私がとにかく感心したのが、本プロジェクトは書籍編集者が自分たちでプログラマと直接話しながら構築を続けているということで、どうやら流し込む本文テキストのタグ付け等も自分たちでやっているらしい。「やっぱり編集者は、自分たちでモノづくりをしたほうがいい、気合いがあればできる」と何度も繰り返していたのが非常に印象的であった。

★大きな出版社になると、デジタル事業に関しては専門の部署ができており、電子書籍事業はそちらが手掛けることが多い。また、社内でも分業体制を敷いて、編集者はコンテンツを作るまでが仕事で、そのあとの電子書籍データを作成したり流通させたり、といった仕事は専門部署に任せることが多い、と思う。私自身、「編集者にはコンテンツを作ることに集中してもらいたい、その他の雑務はこちらが引き受ける」というつもりで社内の体制を作ろうと思っているのだが、ダイヤモンド社の説明会を聞いて、目からウロコというか・・・なるほどなぁと思った。私自身、社内でWebサイトの構築を推進する際には頑として「紙の編集部が関与しないWebサイトは作りたくない」という思いを持っていた。編集部にはその分労力がかかってしまうのだが、「紙もWebも自分たちの媒体だ」という認識でいなければ意味がない、と思っていたので。考えてみたら、電子書籍だって同じことだよな。

人気化粧品メーカー・ロクシタンと提携する、集英社の「不安と恍惚」
s-womanがロクシタンと提携し、Webと雑誌を組み合わせたL’OCCAをスタート・・・させたのだが、紹介していた上記記事が手厳しい口調。「だが、突きつめれば「カスタム出版に毛の生えたようなもの」といった声が聞かれるのも当然だろう」って。ここ最近、電子書籍のブームに押されてか、出版社の手掛けるWebメディアに対する評価は低い。Web広告収入は市場としては伸びていても出版社の手掛けるサイトに出広が決まるわけではなく、ECサイトも大きな投資を回収するのに苦心しているところがほとんど。Webメディアとして本当に利益を出しているところは一握りなのではないか。しかし、私としては今後も「コンテンツのクオリティがしっかりしたWebサイト」に対するニーズはまだまだ高まると思っている。すべてがCGMになるわけではない。そこに出版社がいられる余地があるのではないか。

★最近思うこと。自分にとってのクライアントは「デジタルメディアのことがよくわからない編集者」なんだな、ということに気づいた。自分自身が企画を立てたりコンテンツを作るわけでなく、編集者の制作作業をデジタルの側面からサポートしていきたい、と思っているわけで・・・・・・そうなると、私としては出版社の編集者が誰もがみなデジタルメディアでのコンテンツ制作をストレスなく行えて柔軟に動き回れるようになると、自分の仕事があがったりになる(笑)。だから私としては、編集者の皆様方には、実はあまりデジタルには詳しくなってもらっては困るのですな(笑)。

★珍しくビジネス本、ネット解説本以外を。ジャケ買いしました。

100均フリーダム
100均フリーダム
posted with amazlet at 10.06.24
内海 慶一
ビー・エヌ・エヌ新社
売り上げランキング: 12979

 
100円均一ショップに並ぶ商品の中から「なんじゃこれは!?」と言いたくなる商品の数々をオールカラーで解説。なんか、ちょっと懐かしいほどに正統的なサブカル本だった。こういうのまだちゃんと本になるんだ。売れてほしいなぁ。紹介されてるざっくりしすぎたデザインの数々。何の動物かまったくわからない形状の動物のおもちゃや、意味不明の漢字がびっしりと周囲に書かれてるフォトスタンドなど・・・著者は繰り返し「企画会議を通ってこの商品が出たとは思えない」と驚嘆する。質もめちゃくちゃで、おそらく中国あたりから何も考えずにまとめて購入してきたもんなのだろうな。しかし、本書からはマーケティングでは生まれない、突飛過ぎるがゆえに現れる独特の世界が垣間見える。

★そしてそれは、まさに「本の世界」そのものがそうだったんじゃなかったかな。市場が縮小しマーケット主導となった出版市場からは、このようないい意味でも悪い意味でも型破りな商品はもう生まれないのかもしれない。

2010年6月10日(木曜日) 今度はiPhone4ショック&京極ショック・・・etc.

★まずは告知から。「本の学校 出版産業シンポジウム」が今年も7/10(土)に開催されます。今回のメインセッションのテーマは「本の消費現場で何が起きているのか?」と題し、仲俣暁生氏をコーディネータに、そしてパネリストは印刷博物館館長の樺山紘一氏、講談社で「ファウスト」等を手掛けた異端の編集者・太田克史氏、丸善お茶の水店店長の草彅主税氏を迎えてお送りします。午後には「人文書」「取次」「古書併売」「デジタル」をテーマにした分科会と、講演会が開催されます。私も本シンポジウムの運営協力を行っております。東京国際ブックフェアと合わせて、ぜひとも奮ってご参加いただきますようお願い申しあげます。

★iPadの感動冷めやらぬまま、iPhone4の発表に大騒ぎ。iPadは非常に新しい存在のデバイスだが、まだ自分の生活のどこに密着するのかがよくわからない。しかしiPhoneは、私の生活の中には完全に定着しており、なくなっては困る存在になってしまっているので、こちらの進化は非常に気になるところだ。で、私にとっての一番のポイントはマルチタスク機能とアプリのフォルダ管理、そして何よりBluetoothで外部キーボードが接続可能になる点だろう。これなら、外出先のメモが簡単になるし、よりevernoteの活用も進むだろうな。というわけで、とりあえず今持ってるiPhone3GSをiOS4にアップグレードするだけでがまん。

★そしてもう一つ気になっているのがモバイルWiFiルータ「光ポータブル」の動向。現在私はDoCoMoのケータイとiPhoneとイー・モバイルの通信機器を持っている。イー・モバイルの契約がまだ1年半残っているので、いまポケットWiFiに機種変更しようとすると、解約手数料が3万円くらいかかってしまってもったいない。そこで、自宅でフレッツ光を契約しているので、上記のWiFiルータのSIMフリーモデルを契約すれば、イー・モバイルのSIMカードを挿すことで乗り換えができるんでは・・・という思いなのだが。そんなにうまくいくのかどうか。

★出版社で電子書籍やデジタル関連の担当をしてる人たちは、ここ最近の動乱を「iPadショック」「京極ショック」と呼んでいる。京極夏彦氏が新作『死ねばいいのに』をiPad、iPhoneで同時発売をしたことを受けて、今や著者やデジタルに見向きもしない編集者から「で、オレの本はいつiPadで出るの?」「早く自分の本をiPadにしてほしい」という問合せが殺到し、急に仕事が増えてどたばた・・・という状況になっているのだ。しかしながら、あれだけ売れてる米国ですら200万台というハードの普及状況の中では、そんなにコンテンツがたくさん売れるわけではない。まぁせいぜい都心に大型書店が一つ増え商圏が変わった、くらいの認識でしかないだろう。いくらなんでもトーハンや日販がなくなって代わりにアップルが、というほどの規模ではない。

★ここでも繰り返し書いてるが、amazonが日本の書籍出版市場に与えている影響力って全体の10%程度だろう。10%ということは、ここまで物凄い勢いを保ったamazonですら、せいぜい業界3位の取次、大阪屋程度、という言い方もできるのだ。小売や版元というレイヤーで見るととんでもない巨大企業だが、プラットフォームというレイヤーで観察すると、やはりまだまだ紙の流通の市場規模はとても大きい。

2010年6月2日(水曜日) 本日はiPad一色で。

★iPadかわいいよiPad。

★というわけで、カイシャの経費で購入したiPadを、さも自分のものであるかのように使い倒しているのだが、やっぱり「なんだかわからないが新しい楽しいもの」という感覚がとても強くて、いじっていてとても楽しい。不満や不便なところは色々あるけれども、それを補ってあまりある魅力があるよねぇ。うふふふ。

★普段Webやデジタル機器に関心を持たない人が「iPadどうなん?」と集まってくる。iPhoneのときに比べると明らかに多い。そんなときに私が鼻をふくらませながら皆に見せているアプリはこちらである。

元素図鑑: The Elements in Japanese
 理科の授業で習ったすべての元素が立体的なビジュアルや豊富な解説ととともに紹介される。とにかくカッコイイ。子供の時にこんな図鑑を持ってたら、絶対に価値観が変わってたと思う。「気持ち悪い」という人もいるけど、たいていの人はこのビジュアルに圧倒される。

STAR WALK
 iPhoneでも愛用しているけど、iPad版の画面の大きさはやはりすごい。「教育」カテゴリに入っているが、女子に見せるにはぴったり!(笑

Soundrop
 これもiPhone版あるが・・・一定の間隔で落ちてくる白い球を、自分で自由に線を引いてバウンドさせ音を奏でていくというメディアアートぽいアプリ。偶然できる複雑なリズムがとても楽しくて、気づくと延々いじってしまう。ゲーム系アプリよりもこちらのほうが皆楽しんでくれる、と思う。

Popular Science
 雑誌系のアプリは日本・米国問わず一通り落としているのだが、デザインの斬新性ならやはりコレ。背景画像と本文が別のレイヤーになっていて、本文だけスクロールさせる表現方法は絶対に紙ではできない。他には「TIME」「WIRED」あたりを見せている感じ。

東京カレンダー 5&6月号+東京情緒食堂 美味しい地図帳
 動画が挿入されてて派手なのは「GQ」「VOGUE」や「OZマガジン」などだが、YAPPAのビューアを用いている雑誌アプリは通信環境がないといけないため、時にもっさりした動作になってしまうことがある。そのため、短時間で皆に見せるときは「東京カレンダー」が良い。こちらはダウンロード型なので、環境に依存せずサクサク動く。

yubichiz(ゆびちず)
 実はこれはAPP STOREで配られていないYahoo!による実験的Webアプリ。地図上を指でなぞることで、ルート検索などができるものなのだが、地図そのものを画面で触ると非常に使い勝手がよくiPadにはオススメ。私はこちらをホーム画面にブックマークしてアプリのアイコンのようにして置いている。

★一通り見せた後にiPadを渡して自由に触ってもらうと、たいてい皆はよくニュースで放映されるときに使われたAliceや、産経新聞HD、そしてiBooksを開いてみて「あーやっぱり読みやすいね、これなら読めるなぁ」としきりに感心する。やはり報道の成果もあって「iPad=本や新聞を読むもの」という意識が強く働いているようだ。

★そして、一通り触った後に出てくるネガティブな発言はだいたいこちら。特に2番目の指摘は女性から多い気がするなぁ。

◎「重い」:見た目より重い、重心が安定しなくて落としそう、片手で持つにはキツイ、といった反応が大半。
◎「指紋が目立つ」:指紋が目立ってイヤという人が多い。保護シートか何かを貼れば解決するのか?
◎「目が疲れる」: 特に書籍系アプリを見せると言われる。雑誌を見せたときはあまり言われないが。

★あとは、Safariを開いてWebサイトを一通り見せた後に「iPadだと、ウチの会社のWebサイトは正しく表示されないんです」と言って、Flashを用いたページを見せ、「iPadが全盛になっちゃうと、多くのWebサイトは作り変えなきゃいけない」話をすると、編集部の人や偉い人は「またWebサイトにカネ使わなあかんのか」という嫌な顔する。ああお願いしますApple様、FLASH対応してください・・・少なくともウチのWeb制作スタッフはちょっと青ざめてるよ・・・。

★そして仕事上でも一気に電子書籍・電子雑誌に関する問合せが増えてきた。編集部からの問合せ、著者からの問合せ、そして様々な「iPadでひと儲けしませんか」系の売り込み営業電話・・・今まで電子雑誌や電子書籍の仕事をしてた私からすると、「ここでアプリ作っても、おそらく大したダウンロード数にはならんよなぁ」と個人的には思っているのだが、この状況を機に、一気に電子出版に対する共通理解を深めるチャンスなのだと思い頑張ってエバンジェリスト役を務めている次第であります。

ソフトバンクがiPad向けに定額サービス 新聞・雑誌・テレビ31コンテンツが見放題
そんな中で突如発表されたサービス「ビューン」。月額450円で雑誌や新聞などのコンテンツが読み放題、というサービスで、アクセスが集中しオープン初日の昨日はまったく接続できない状況が続いていた。気になるのはそのビジネスモデルで・・・雑誌の場合は「この雑誌のこの記事が読みたい」と思った読者からカネをもらうのが当たり前なんだけど、一定のおカネを払えば好きな雑誌を読み放題というのは・・・まぁマンガ喫茶の雑誌みたいなもの、と思えばいいのか。それにしても個人的には釈然としない感じ。読者の立場に立つと、確かに定額読み放題というサービスは魅力的に映るが、カネを払ってみたものの読みたい記事が提供されなかった、といった場合の不満は多そうだ。