diary

2007年12月28日(金曜日) 仕事納め。

★今年は色々あったなぁ。立場も激変し、やる仕事もずいぶん変わった。一気にすごく忙しくなったしこまごまとした気苦労もあるけど、出版業界の集まりにも顔を出す機会が増えたり、とりあえずモノ作りに携われたり、気分的には充実していると思う。まだ仕事を楽しめているうちは大丈夫なんじゃないかな。

『孤独のグルメ』10年ぶりの最新作
ネット界で非常に愛され、口コミでじわじわと評判が広がっているマンガ『孤独のグルメ』の最新作が年明けのSPA!に掲載されるらしい。

孤独のグルメ (扶桑社文庫)
久住 昌之 谷口 ジロー
扶桑社 (2000/02)
売り上げランキング: 153

「男が一人でメシを食う」だけの話なのに、つい引き込まれる(あちこちでレビューが書かれているので私がもう付け加えることはない)。未読の方はぜひ。私は親本の初版で持ってるよ、と思ったら…何?新装版も予定してるの!買いなおさねば。

「これで雑誌が売れる!」
全国書店員から「雑誌を売るノウハウ」をアンケートで集めた小冊子。すでに全国書店に無料配布されているという。表紙や中のイラストは「暴れん坊本屋さん」の久世番子。「売るための書店員のテクニック」というのは、今まで専ら書籍のほうで語られていた印象がある(仕掛け販売とかPOPとか)。しかし、中小書店にとって雑誌の売上比率は高い。本来なら雑誌のほうでこそ、より高度な販売ノウハウを確立しなければならないはずなのだ。とはいえ、一方で「本が送られてこない問題」というのは確かに根強くあるし、年々疲弊する書店現場で新たな試みなどとてもできない、という悲鳴もよくわかる。

セカンドライフの失敗から学ぶべきいくつかのこと
技術的な問題点があるのはしょうがないが、問題なのは「一気に大きくさせすぎたことだ」と本稿も指摘する。確かに広告代理店や企業が先行しすぎて、ユーザーが全然ついていけない状況が明らかに生まれていたしなぁ。…と思ったら、もうこんなのが出てるんだ。こちらのほうが日本人にはいいとは思うが、そもそも仮想空間って・・・面白いのかなぁ?

本の自動販売機、キオスクで人気 首都圏JR5駅
つい「本の自販機」と聞くとエッチなものを想像しちゃうのだが、これはいたってまともな商品ラインナップ。1年くらい前から置かれてなかったっけ?妙な存在で私も気になっていた。

2007年12月20日(木曜日) 計算。

★来年も忙しくなるなぁ、と思うここ数日間。

★私にとっての「面白い本」とは、必ずしも一気に読み進められた本、世界に没入できた本ばかりをさすわけではない。読んでる途中で「じゃあアレはどうだ?コレってどうなんだ?」と思いを巡らせ、本から目を離し思考の世界に飛ぶ・・・というのも、ある意味本の世界を味わっていることになると思う。別に全部読まなくても、結論が気に入らなくても、自らの思索のきっかけになる本は面白い本だ。

★と、突如としてそんなことを書いたのは、以下の本書をいま読んでる最中だから。まだ半分くらいだけど。

その数学が戦略を決める
イアン・エアーズ 山形 浩生
文藝春秋 (2007/11/29)
売り上げランキング: 142

兆単位(テラバイト)のデータを集積し、分析をすることで見えてくる世界がある。ぶどうが収穫された年の降水量と、その後のワインのヴィンテージとなって出荷されるときの価格。クレジットカード返済遅れの回数と、そのひとが車で事故を起こす確率。一見関係なさそうな事象の数々が、超膨大なデータを「絶対計算」することによって組み合わされ、一つの物語を作り出していく。米国では政治における政策意思決定においても同様の実験と分析が頻繁に行われているという。難しい数式は一切示さず、山形浩生の読みやすい訳で事例を豊富に挙げており、文系の私でもよくよくわかる。すげーなー。情報化社会ってカッコイイなぁ。怖いなぁ。

★本書の英語版が出版されるとき、著者はタイトルを2種類作ってそれぞれ検索エンジンのキーワード広告に載せたのだという。「データマイニング」というキーワードで検索した人が、どちらのタイトルをよりクリックするかを調査し、その多いほうをタイトルにしたのだとか。いいなぁ。自著にまで無作為抽出テストを行うとは徹底してるなぁ。・・・しかし、読み進めると訳者の付記がついていた。「(注)ちなみに本書の邦題は絶対計算を使わず日本版の編集者の直感だけで決めている」・・・いいなぁ。そうだよな文藝春秋。徹底してるなぁ。

★出版社でマーケティング系の仕事に携わる者としては、企画を見た瞬間に売れる部数がわかる数式とか、書店のPOSデータで最終実売数を予測する数式とかを作れないものか、と思ってしまう。事実、独自の方程式をアタマの中に持ち、増刷の検討に使っている人も多いだろう。しかし、本書を読んでると、たかだかPOSデータの「入荷・実売・返品」の数だけで、すべての予測ができるわけではないと思いを強くした。本気で予測をしたいんだったら、たとえば毎日の天候・気温と書店全体の売上数の相関関係を探るとか(これは本当に誰かやってそうだ)、Aという商品の隣に並べられていた別の書籍の表紙の色の違いによる売り上げの違いとか(「この本、いつもはさっぱり売れないけど赤い表紙の本が隣に並ぶと途端に売れるんだよ!」なんてのがあるんじゃないか)、そういうのをとことんやって初めて「POSデータを活用してる」なんてことになるんじゃないか。少なくとも今のレベルで「データに基づく販売」ってのは、なかなか恥ずかしくて言えないもんだ、と思う次第で。

本屋のほんね:コミックにシュリンクをしないとどうなるか?(その1)
書店のコミック売り場におけるあのビニールパックを、そもそも一般の方々は「出版社がやってる」と思ってるんだろう(少なくともウチの社内には1人いた)。あれをやめると売り上げは上がるのか落ちるのか?という問題。本屋のほんね氏の続き(実験結果)が早く読みたい。まぁ平積みされるようなモノは、見本を1冊作って残りはシュリンクする、というのがお客さんにとってはいいんだろうな。管理が面倒そうだが。昨今は出版社も「お試し読み用の冊子」を作って書店に設置させてるケースもあるし。

講談社「KING」がリニューアルで示すサバイバリズム~30代男性向け雑誌の行方
最近露骨にノーマークにしてた。反省。あとでコンビニかどっかで見てみよう。

Kindleを欲しがる理由
米国amazonが発売した電子書籍端末が売れに売れているとか。なぜ日本では普及しないのに向こうでは成功するのか?上記記事にも書いてあるが要は安く最新のベストセラーや雑誌、新聞が読めるからだ。日本の電子書籍市場がいくら伸びているといっても、扱っている商品は決してリアルの世界のベストセラーとは連動していない。もし、「ホームレス中学生」も「恋空」も「生物と無生物のあいだ」も全部読める(しかも安く)、そんな端末があったら・・・買うでしょう?

2007年12月18日(火曜日) 早めじゃない。

★「今年こそは早めに年賀状を作ろう」「大掃除を少しずつ始めよう」と思っていたのに、気づくともう全然早めでもなんでもない時期じゃないか。何にもしてねーよ。今年はどうしよう・・・

LOVE! BERG! 「ベルク」応援ブログ
JR新宿駅東口地下にあるコーヒーとビールの店・ベルク。いつ行っても立ち飲みのお客さんであふれかえっていて、周囲でも密かにファンの多いこの店がルミネに退店勧告され、ちょっとした騒動となっている。結局大家と店子の関係というものはそんなものだから、しょうがない・・・とはいえ、私個人としてはあの店はなくなってほしくないので、上記の応援ブログを支持することにいたします。うまく落とし所が見つかるといいですね。

キノベス2007が発表。全国の紀伊國屋書店スタッフが選ぶ年間ベストの第一位は近藤文恵『サクリファイス』。ここでは繰り返し伝えているが、キノベスと本屋大賞はラインナップがけっこう重なるので、やはり同書が来年の本屋大賞最有力候補であることは間違いない。調達力に自信のない書店さんは、今からバクチを打って在庫を抱えておくべきか!?(笑)

『マンガ論争勃発』秋葉原で先行発売開始
まだamazonにも書誌情報が出ていないので紹介は次回に譲るが、さっそく先週末書泉ブックタワーに行き購入。たぶん著者よりも早く、ほぼ読了しました。いやーよくこんだけ取材したなぁというのが第一感。

ネット配信で「広く薄くあまねく」徴収する“閲覧権”創設を
ニセモノの良心経由で。角川歴彦会長が「完全なDRMが出来るなら、ダウンロードやストリーミング配信時の“閲覧権”を創設せよ」という主張を展開している。コンテンツホルダーとしては非常にまっとうな意見で、私も仕事としてはそちら側にいるので納得が出来る。とはいうものの、一般視聴者はすでに「オカネを払って見るメディア」と「無料で見るメディア」をずっと前から区別していて、インターネットは「テレビと同じ無料メディア」という位置づけにされつつある。それはコンテンツ企業としてはゆゆしき事態なのだが、じゃあどうすべきか、というのが難しい。いろんなところで「メディアは新しいビジネスモデルを考える時期に来ている」というわかりやすい文章を見かけるのだが、結局は水を入れる器がアナログからデジタルに変わっただけで、考えられるのは視聴者からカネを取るか、広告主からカネを取るか、その二者択一でしかないのだ。・・・すいません、困ってるんです、あたくしも・・・。

ぜいたく品を購入する中高年富裕層もSNSがお好き
米国の事例だが日本はどうか。mixiは20~30代が中心、モバゲータウンは10代が中心と、SNS=若年層というイメージが強い。その一方で、団塊世代市場が注目されており、アクティブに活動したい50代、60代が多数外に出てきているという状況もある。「中高年層向け専門のSNS」を立ち上げたら、比較的盛り上がるのではないか。どうやって集めるかはよくわからんが。

ココを読んでいろいろと共感。「Ctrl+C」や「Ctrl+Z」「Ctrl+S」を使っている人は多いけど、「Alt+Tab」を使ってる人は少ない。とても作業がラクになるのにね。あと自分が多用するのは「Windowsキー+D」。

2007年12月12日(水曜日) パルコブックセンター

★昨朝、満員の地下鉄に飛び乗ったら、たまたま自分の前にいた人たちの中で、NIntendoDSを持ってる人が2人、iPod Touchでテレビドラマを見てる人が1人、スマートフォンでメールチェックしている人が一人・・・雑誌や本を読んでる人は誰もいなくて「あーこりゃまずいよな」と思う次第で。

「でるべんの会」勉強会:『かつてパルコブックセンターという書店があった!』
次の勉強会テーマが決定しました。リブロに統合されていまやその屋号は残っていませんが、「パルコブックセンター」という書店が時代の象徴的存在であることは間違いありません。今回はパルコにて人事および渋谷店営業の経験をもつ元A/Zブック&カフェの梶村陽一さん、パルコブックセンター出身で現リブロ池袋本店の矢部潤子さん、そして、コーディネーターとして月曜社の小林浩さんに90年代のことを中心にお話しいただきます。幹事の我々がこういうのも何ですが、かなり面白そうです。2008年1月18日(金)、会場は池袋芸術劇場と比較的大きい部屋をおさえておりますが、お申込みはお早めにお願いいたします。

コレが面白くて、無駄に長時間ちまちまといじって遊んでしまう。つかんだり投げたりくずしたり・・・

旭屋書店がネット通販から撤退していた。まぁしょうがないかな。オンライン通販業界も、マジで投資して勝負しないと成功できない世界になっているから。

『コミック・ガンボ』休刊。無料コミック誌というビジネスモデルが成り立たなかったことに、多くのマンガ関係者はほっとしたことだろう。注目していたのだが残念。資金は潤沢にあったからまだ続けることはできたのだろうが、やはり単行本が不振で回収のめどが立たないのが大きいか。

2007年12月10日(月曜日) お久しぶりです。

★Web日記をつけ始めて以来、最も長く沈黙してました。申し訳ないです。

★以前も告知した待望の復刻キター!

度胸星 1 (1) (KCデラックス)
山田 芳裕
講談社 (2007/11/22)

ヤングサンデー連載時に人気を集めるも、当時の新編集長の方針であっさり打ち切りとなった未完の大作。単行本も絶版となっていたが、このたび講談社で復刻の運びとなった。名前に合わず喧嘩を売られてもやられっぱなしで不器用なトラック運転手・三河度胸が火星への宇宙飛行士を志願。穏やかな趣とは裏腹に、極限状態で見せる底力が…宇宙をテーマとしたマンガの中でも、傑作の一つとして数えたほうがいいのに。続編執筆の噂も流れる中、読み返すべき一冊。

ミシュランの重版入荷分が雀の涙な件
ミシュランガイドの調達をあきらめきっている書店が多いのは、この凄まじい部数調整にあったのか。書店側からすると「なぜ売れるのに刷らないのか」ということになるだろうが、ミシュランの営業ツールとして考えると、確かにこの程度の飢餓感があったほうがいい。
ケータイ小説が大ヒットした要因の一つに、地方を中心にした異常なまでの大量配本というのがある。中には大量に売れても大量に返品が出て、果たしてトータルで儲かったのか?という本もあるが、結果としてケータイ小説市場の形成に役立った。ミシュランガイドのそれはその反対である。この情報過多時代にあえて「なかなか手に入らない」状況を演出し、注目を集めるという・・・モノの売り方にもいろいろあるもんだ。

既刊文庫、仕掛けて売れ オビ変えたら60万部
私自身も営業時代は既刊書の発掘にずいぶん力を注いでいた。新刊は売れるか売れないかわからないのに、建前としては全国になるべく広く配本をしなければいけない。既刊書の場合、まず1店舗で試して売れたらそのチェーン店の中で広げ、成功したらオビを印刷してちょっと増刷してみて・・・といった形で、時間をかけながら徐々に広げていくことが可能だから。出版社の中において、編集者は常に新しい本を作り続け前を見ているのだが、営業の人間はもう少し足元を見ていて、こぼれた種の中から花が咲きそうなものを必死に探し、せっせと植え替えをしたり水をやったりしているものだ。

文教堂、IT活用で「書籍陳列力」を強化
各分野のスペシャリストが書籍をランク化。各店の店長が自分たちの規模に合わせて理想在庫を参照し、品揃えを行うことができるというシステム。本部の仕入担当者が棚在庫まで含めて管理をしようというチェーン店もあるが、文教堂の場合は店舗のスタッフに任せる点が新しい。

本屋回遊記:さわや書店本店
伊藤店長にはお会いしたことがあるが、店を訪問する機会には恵まれていない。上記のようにシステムで全店をカバーする書店がある一方で、昔ながらの職人技として棚を保ち、売上を保っている書店もある。どちらが良いとか悪いとかいうことではないが、現状では後者の伊藤店長のような存在は全国で少なくなる一方である。厳しい。

古い教会を利用した荘厳な大型書店
オランダの書店チェーンが800年前に建てられた教会を利用して開店。写真の撮り方もあるんだろうけど、非常に美しい。日本はコレで対抗するか!

コンテナーとコンテンツ
出版社でデジタルメディアの仕事をしていると、「コンテンツ」と「メディア」は分けて考えなければいけないという意識が強まってくるのだが、その一方でコンテンツだけでは商売にならない、とも思うのだ。人は「本」というパッケージならオカネを払うが、まったく同じものをパソコンのモニタに移すと途端にケチになる。しかしケータイコンテンツにすると意外に高額でも抵抗なく払う・・・といった具合で、同じ水でも入れ物によってまったく変わるのが面白いというか難しい。