diary

2009年2月25日(水曜日) 講談社過去最高の赤字、日本の広告費2008年、『尾道坂書店事件簿』・・・etc.

★珍しく連日の更新だが・・・やはりこの2つのニュースには一言触れざるを得ない、ということで。

講談社、前期最終赤字76億円 過去最大の赤字幅
天下の講談社が大幅赤字転落、ということでニュースになっている。広告収入減が響いたというが、経営を支えるコミックに大ヒット作が見られなかったのも、売上不振につながっている大きな要因といえる。講談社は比較的団塊の世代の正社員が多いので、今後社員数は自然減になると見られているが、そのスピードでは追いつかないのでは、という気がする。

★先日、ビデオ・リサーチの主催するセミナーで講談社MouRaを手掛ける服部編集長の話を聞いたのだが、MouRa事業は着実に売上を伸ばしているものの、その実態はまだ単年度でも赤字であるということ。(数字はここでは公表しないが)会社全体に対するデジタル事業が占める売上比率は1~2%程度、というところのようで、まだまだ講談社の経営をデジタル部門が支える、という話にはほど遠いようだ。しかもMouRaの場合は、Web連載を単行本化して販売する、紙の出版事業の売上がかなりの割合を占めているので、厳密にいうデジタルコンテンツの売上、になるともっと小さい割合と言えるだろう。

2008年のインターネット広告費は16.3%増の6983億円、電通調べ
一方で、新聞広告費が12.5%減少、雑誌広告費が11.1%の減少と、完全に「旧メディアの衰退とインターネットの隆盛」と語られやすい図式になっている。講談社の赤字と並んで、またしばらくその手の報道は続くと思われる。それを見て企業はさらに宣伝費を旧マス媒体からネットに振り替えてしまい・・・さらに広がる悪循環。

★ただ、直近に関して言えばインターネット広告市場も決してほめられた状況ではなく、利用者無料で広告モデルを目指した多くのサービスがひどい目にあっている。参入が他のメディアに比べて容易だが、成功するのも難しい・・・ということで、出版よりも「一強他弱」の殺伐とした世界だなぁと感じざるを得ない。あたしらは、そんなYahoo!さんとかmixiさんとかモバゲーさんみたいな大それたことをやるわけじゃないんで、小さくまとまって、ひっそり自分の飯だけ食わせてもらえればいいんですが・・・。

★もう一言駄文を。私は「出版不況」という言葉に常々違和感を覚えている。「不況」というのは景気の話で、施策次第で良い時もくれば悪い時もくる。だけど、出版などのメディア産業に訪れているのは構造の変化であり、狭義の意味での(昔ながらの)出版はゆるやかに「衰退」していくと思われる。極端な例えだが、誰も「レーザーディスク市場が不況だ」って言わないよね?「音楽市場」は好不況の波があるかもしれないけど。いわゆる「出版」も早く、メディアやデバイスと心中しすぎないような、新たな器を探して変化をしていくべきなのだ、と私は思うのだが。

★とは言うものの、あるまとまった量のコンテンツを読ませるデバイスとして「(紙の)本」は非常に優れている。また、取次・書店による流通網も整備されており、インフラとしても申し分ない。では、そのインフラを支えている書店とは・・・ということで、半ば強引なフリながら、読み終えたばかりの本書をご紹介。

尾道坂道書店事件簿
尾道坂道書店事件簿
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児玉憲宗
本の雑誌社
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Web本の雑誌連載の単行本化。広島県尾道市を中心に展開する書店チェーン啓文社で本部仕入業務等を担当する児玉憲宗氏が半生をつづったエッセイ。児玉氏は働き盛りの中で大病を患い、今後の半生を車椅子とともに送らざるをえなくなった。しかし周囲は暖かく彼を迎え(社長の計らいで社内はすべてバリアフリーに改装となった)、本人も現状を前向きにとらえ、直接店に立つことはないものの、書店員として何ができるかを常に考え周囲と明るく仕事をしている。会社自体も新しいことへの挑戦を常に忘れず「効率を追求しすぎると祭はできない」(でしたっけ)との姿勢を崩さない・・・読んでいて前向きな気分になれる一冊。書店を取り巻く環境はあまりに厳しく、抜本的な構造改革が必要でそれに対する議論もすべきなのだが、それとは別にこういう書店の話は読んでいてうれしくなるし、応援したくなる。

1990年前後のフジテレビ深夜番組が神がかっていた時代
このブログ主と私はほぼ同世代なんじゃなかろうか、と他のエントリを見てても思うのだが、確かにかつてのフジテレビ深夜番組は面白かった。今に比べれば制作費が潤沢にあった、という事情はあるだろうが、それでもテレビの割にはほどよくとんがった、ちょっと知的なエンタテインメント番組を数多くやっていて、思春期の自意識にはぴったりあったものだ。

5年前に入社した原君は、全然仕事をしません。
求人情報のリクナビNETにこんな文章が。どんな会社や!と思いつつ読んでみると・・・笑ってしまうものの、人柄が見えるよい求人。

2009年2月24日(火曜日) 『エスクァイア日本版』休刊、楽天『旅色』、沢本あすか暴露本、「Boys Be・・・」復活 etc.

★すでに一週間前になってしまいましたが、先日のでるべんの会には徳間書店『アニメージュ』の松下編集長をお招きし、お話を伺いました。お集りいただいた皆様、ありがとうございました。雑誌の機能には「情報を発信する」「作り手と読者、あるいは読者同士のコミュニティを作る」というものがあると思いますが、アニメ情報誌において読者が求めているのはグッズとしての存在感である、ということが非常によくわかりました。付録の中で「下敷き」が一番人気、というのもなんとなくなるほどなぁと思った次第です。

★最近どちらかというと社外仕事の比重が高く、ちょっとマズいなぁと思う。でも、こっちは他にやる人がいないし、長い目で見たら会社のためでもあるし、もし企画が通ったらすげー大きいし・・・ということで、業務時間外を使ってこつこつ企画書を作成。馴れない文体は難しい・・・。

「エスクァイア」日本版が休刊へ! さらにコンデナストの新雑誌も……
『エスクァイア』ほど知名度のある媒体ですら休刊になるのか、とファッション・モード系の業界を震撼させたニュース。そりゃ創刊取りやめになる雑誌も相次ぐわけだ。ちなみにエスクァイアジャパンという出版社は、ほぼこの雑誌しか出してない(あとはカード会員誌の編集制作をしたりしている程度)。会社自体がどうなってしまうんだろうか。季刊誌一つじゃ無理だろうし。

『BRUTUS』の農業特集は農水省が3000万円で買っているとの情報あり。「食料自給率戦略広報推進事業」の一環だとか。なるほど。ということは今は農業特集をやると国がスポンサーになってくれるんだな、ということで、今後様々なメディアで農業特集が組まれる可能性が高いと見た。逆に、『BRUTUS』の次はラジオ特集ということは・・・総務省あたりからもカネが出るのか!?(笑

楽天トラベル、女性向けトラベルウェブマガジン「旅色」を創刊
いわゆるPC上でページをめくって読むタイプのウェブマガジン、『旅色 Luxury Stays』が創刊。閲覧無料なのは高級宿の宿泊予約増を目的にしているからだろう。本当の紙の雑誌に比べページ数は少なくても見栄えがするし、紙代、印刷代が浮くし、ということでFLASH製作費を出しても十分リーズナブルな雑誌創刊といえるだろう。問題はここに人をどうやって引き込むか、なんだけど。

★・・・それはそうと、最近私は、ネット情報収集の多くをtx別館(本とネットの話限定)さんに頼っております。テーマがまさに私にとってピンポイントにささるものであり、更新量も多いうえにブックガイドとしても面白く、さらにニュース分析もきちんとなされており、当サイトの読者の方にはオススメかと思います。

沢本あすか、「暴露本」発売! アキバ復活を宣言
Tバック姿で秋葉原路上に現れ騒動となった自称グラビアアイドルが暴露本を出版。問題なのはこの取材文中に「沢本節は健在で『(本を)買えない人は万引してください(笑)』とブラックジョークも」というところで・・・ただでさえ日々の万引きにはセンシティブになっている書店の人がこんな話を聞いたら、マジで怒って即返品されるんじゃないかな、と思う。

米国大手コミックス出版取次ぎ 日本マンガ、アニメ千点取扱い停止
やや古いニュースだがメモ。いま日本の出版界は、生き残りをかけるために「国際化」「マーケティング」「デジタル化」の3つが不可欠だ、といわれている。私に一番欠けている、というかよくわからないのが「国際化」の部分で・・・コミック系の版元以外でもそのあたりは意識し始めなきゃいけないんだろうが、うーむ。

レジェンドオブラブコメ「BOYS BE…」、奇跡の復活
こ、コレは気になる!

子どもの視力はいま「1.0」が最高ってホント?
学校での視力検査はABCの3段階評価になっているという・・・へー。子供を持つ親なら知ってるのかもしれないけど、小中学生と接する機会がまるでなくなった私は、昔と今の学校の習慣の違い、文化の違いに驚くことばかりです。

2009年2月17日(火曜日) ブリーズライト、電子出版クロニクル、Kindleと新聞、USB接続サブモニターetc.

★「立場が変われば悩みが変わる」ということを痛感する昨今。うーん、うまくいかんなぁ。

★先週末から一気に鼻がむずむずする。暖かかったもんなぁ、一気に花粉が来たんだろう・・・。近いうちに医者に薬をもらいに行かねば、と思いつつ今年は初めてブリーズライトを使ってみる。確かに鼻づまりが・・・ちょっと楽になる。なるほどね。ちょっとだけどね。やっぱり薬は飲もう。

★ご献本いただき拝読その1。

電子出版クロニクル
電子出版クロニクル
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日本電子出版協会(Japan Electronic Publishing Association)
日本電子出版協会(Japan Electronic Publishing Association)
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日本電子出版協会(JEPA)の歩みが一冊にまとまった。1986年に発足以来、CD-ROM、電子辞書、読書専用端末、PC、インターネット、ケータイ、オーディオブック・・・と、様々なデバイス、通信インフラを経ながら、電子出版市場は300億円を超える市場となった。様々な関係者の寄稿文からは、簡潔ながらも苦労の連続であったことがしのばれる。辞書系の電子出版と活字系の電子出版と電子コミックとはそれぞれ別の発展を示しているが、これに「雑誌」が加わるか・・・というのが最近の課題。日本雑誌協会の中にもデジタルコンテンツ推進委員会が発足するなど、デジタル化に対する取り組みはある特定の一団体に限らず、あらゆるジャンル、あらゆるフェーズにおいて課題となってくると思われる。

★ご献本いただき拝読その2。

たたかうお店のバイブル13冊―売場の“思想”が客を集める
青田 恵一
青田コーポレーション出版部
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書店コンサルタント・青田恵一氏が「小売」をテーマとした名著13冊を丁寧に紹介する企画。挙げられている本は『生協の白石さん』『鈴木敏文 商売の原点』『デパートを発明した夫婦』など、実践的なものから基礎を学べるものまで幅広い。

「私の町では、地元紙が配達を中止してしまいました。でも Kindle のおかげで……」
新聞紙を止めてKindleに配信すれば、経費が半減するって本当か?
Kindleネタを続けて。日本以上の苦境に陥っている米国の新聞業界が、コンテンツ配信手段として「紙をやめてKindle配信のみ」に移ることができるか?という興味深いテーマ。紙を維持する費用を考えると、読者全員にKindle無料配布しちゃったほうが確かに低コストではあるのだが、それだと広告収入はどうなるのかとか、やっぱり読者は紙での流通を望んで乗り換えられちゃうのではないかとか、課題は多い。でも、「ネットは無料」が当たり前の時代にコンテンツ有料配信のインフラを作ってしまったKindleってのはやっぱりすごい。

iPhoneで読める雑誌「クーリエ・ジャポン」
分量の少ない無料版と、紙の定価のほぼ半分の値段で読める有料版の2種類。さっそく有料版を購入してみる。ビューアはボイジャーのT.Timeを改良したもので、色々工夫が凝らされている。雑誌見開きの状態で本文をタップするとテキスト部分のみが拡大され、続けて読むことができるのは便利だ。これであれば、iPhone程度の大きさの液晶でも雑誌を読むのにさほど苦労はいらない・・・気がする。ただ、このバックデータを用意するのはけっこう手間だと思う。雑誌の場合は校了から発売までの期間が書籍に比べ短いし、販売期間も短いので、デジタルメディア向けのデータを用意するのが時間的に厳しいのだが・・・そのあたりは講談社はどうしているんだろう。

(出版社による)「書店向けコンテンツ」集成
「書店向けの情報」を定期的に掲出している出版社Webサイトのリンク集。よくこれだけ調べたものだ。こうしてみると、大手の出版社はほとんど書店向けページを作っていない、ということがわかる(光文社くらいだろうか)。刊行点数が多すぎる、Webを使わなくても情報が行き渡る、営業体制がしっかりしている・・・など理由はいろいろあるだろうし、もしかしたら特約店向けにクローズドなページを作っている会社もあるのかもしれんが。POPダウンロードよりも、全点注文書を置いておくほうが、書店員にとっては役立つんじゃなかろうか。

コスト削減を単なる美談にしていいのかな
INC石塚氏より、ああ確かに、と思うエントリ。ただわけもわからず高い業者に丸投げ、というのは確かに良くない。昨今のIT技術はわかりやすく進化してきており、個人でプロ並みの成果物を作れてしまう人もいる。しかし、手弁当でこしらえたり、お友達価格で強引に引き受けてもらったりした結果、結果として成果物に問題があったり、問題が発生しなくてもメンテナンスに時間や費用がかかってかえってコスト高になったり、手間ばかりかかって非生産的になってしまうことも多い・・・のも事実だ。その見極めが課題。

USB接続のサブモニターがアツい!?
EeePCを外に持ち歩き、会議室で少人数の打ち合わせやプレゼンを行う機会が多い私としては、自分のネットブックのモニタを相手にも見てもらうために小型のプロジェクタが欲しいなぁと思っていたのだが、ここに来て小型サブモニターという選択肢があることを知る。できればもう少し大きいサイズがいいのだが・・・。誰か試しに買ってもらえないだろうか、という期待を込めてamazonへのリンクをはってみたりする。

2009年2月12日(木曜日) 『BRUTUS』農業特集、『R25』の誕生秘話、『週刊現代』と「あしたのジョー」etc.

★水曜日が祝日ってのは良いね。2日働いて1日休むというサイクルは週の後半でも気力を保つことができる。とはいえ昨日は会社でひとりずっと企画書を書いていたのだが。〆切直前にして完成度60%くらいまでしかいかなかったけど・・・でもはかどって、よかったよかった。

『BRUTUS』はここ数年購入していなかったが・・・今回の農業特集はなんかツボに来て購入させられてしまう。

 
「みんなで農業」と題し、佐藤可士和やナガオカケンメイなどの農場に行ってみたり、ベランダ農園づくりの手引きをまとめたり、最新の科学的農園や昔ながらの野菜直売所を訪れたり・・・。いかにもBRUTUS的な農業の取り上げ方。いま「食の安全」「食料自給率の低下」「工場の派遣切り」などがニュースで取りざたされる中で「やっぱ農業かな」と薄々思っている人は多い・・・はずだ(少なくとも私はそうだ)。そんなもやっとした空気を微妙に感じ取り、雑誌でどんと形にする。いやーうまいなぁ。社内の先輩ともこの話で盛り上がったんだけど、久々に「これぞ雑誌のチカラだ」と感じさせられる企画だった。

★今なお人気の『R25』誕生秘話が一冊に。新書の上に行間が広くて、それこそ「通勤30分で」さくっと読み終えられる分量だ。「これで850円かよ」というツッコミは脇に置いといて・・・。

「R25」のつくりかた (日経プレミアシリーズ)
藤井 大輔
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 103605

 
4年にわたり首都圏で60万部を発行するフリーマガジンに創刊から関わる藤井大輔氏が自ら創刊までの苦労を語る。ほぼ同業にいる者として驚いたのは、徹底的にM1読者層に対しグループインタビューを行い声を集めていることだ。創刊以後も続けられ、数百人以上の話を聞いている計算になる。しかも「M1層はホンネを語ってくれない」ことを知ると、声なき声を導き出すように質問の仕方を研究して変えていく、という熱の入れよう。果たして、他の雑誌や書籍で、ここまでしっかり目的をもったリサーチを行っているところはあるのだろうか。「媒体資料のデータ作りのために」「編集者が自分の賛同者を探すために」表面的なリサーチだけして、自分にとって都合の良いことしか聞かない、というところが多いんじゃないだろうか。

★もう一つ面白いと思ったのは、巻頭コラム集「ランキン&レビュー」の企画会議の運営の仕方。会議で話しやすい雰囲気を作り、フリーランスにはネタ採用ではなく会議参加にギャラを払う、持ち寄ったネタは匿名でみんなに回しフラットな立場でブレストを行う、やわらかめの企画から順に固めの題材に、編集長はファシリテーションに徹する・・・ここまで意識的に「編集会議」を作っている編集部ってあるんだろうか。藤井氏は「自分にこだわりがなくて浅い」ことを本書で繰り返し述べている。だからこそ、読者の声を拾い、スタッフの声を拾う、その場作りに力を入れ、成功しているのだと思う。

★ちなみに、藤井氏はネットビジネスに関しても軽く言及している。・・・ネットのビジネスでは、検索エンジンやSNSなどのコミュニティ、Eコマースなどのプラットフォームが覇権争いをしており、R25は規模が小さすぎる。とはいえコンテンツを軸とした成功モデルはきっとあるはずで、その答えはWebやモバイルの中ではなく「リアルとの接続」の中にあるのではないか・・・。ああ、私のもやもや思っていることをこんなに簡潔に言っていただいた藤井氏に感謝したい。ありがとうございます。

「あしたのジョー」を復刻連載へ 講談社の「週刊現代」
悪く言えば使いまわしなのだが・・・すでに「あしたのジョー」を読んでない世代も多くなっているし、総合週刊誌の中心読者である年配層にはきっと懐かしいだろうし、新規に書き下ろすマンガよりも確実に人気が見込めるし制作のコストや手間もかからないし、ということでよいことづくめ。今後も増えてくるんじゃないかな。

★『週刊現代』は「特命係長・只野仁」を連載し、ヒット作に育て上げながらも2007年に休載。2009年にドラマや映画に合わせ一時復活するも、このときの単行本は講談社から出ずグリーンアロー出版社から出版されている。この会社は電子コミック書店最大手のBbmfが出資している会社で、B社は柳沢きみおと直接契約し、マンガ制作のマネジメントも行っているという。どうやら、『週刊現代』はある意味、B社から只野仁というコンテンツを「借り受けた」格好になっているようだ。これも、雑誌側からすれば自分たちで作家をおさえなくてもライセンス料の支払いのみで人気連載ができる、という効率の良い流れになってるわけだ。今までは紙の出版社がコミックを作り電子に二次利用する、という展開が一般的だったが、電子側で人気作家をおさえて紙媒体に落とす、という逆の流れは、今後も出てくるのではないかと思われる。

★という話を聞くと、「コンテンツを自ら作らないということは・・・じゃあ、出版社って何する会社なの?」という疑問を持つ人もいるはずだ。そのとおり。出版社が守るべきものは何なのか?メディアなのか?取次口座なのか?コンテンツなのか?編集者なのか?作家か?読者か?・・・これはおそらく、出版社の中でも人によって言うことが違うんじゃなかろうか。うーむ。

mixi、価格com、ニコニコ動画らに学ぶ、ネットサービスの収益化
ユーザーは実用的なサービスにはお金を払うが、エンタテインメントサービスにはなかなか財布からお金を出そうとしない・・・。昨今「利用は無料、広告モデルで収益化を」という流れに限界が見え始め、有料モデルを模索する動きが出始めている。かといって、すべてのサービスを有料化してしまうと広がりが出ず縮小の一途をたどってしまう。コンテンツホルダーとしては、無料で読ませるものと有料で読ませるもののバランスを見極め、コンテンツ・情報の露出コントロールを行っていくことが重要なのだと思われる。

TRiCK FiSH: 2008年度日本映画産業統計を読む
毎年恒例の骨太分析企画。邦画のヒットと洋画の凋落、が言われているが総額としての映画興行収入は変わらず、観客としては増えてないのではないかという指摘。好調だったフジテレビ映画も当たり外れが大きく不振の年だった。2009年度は大作が見られず、洋画再逆転の目もあるとか。

2009年2月10日(火曜日) メディア芸術祭、『雑誌よ、甦れ』、Kindle2・・・etc.

pic_ent04.jpg★たまには週末にもお出かけせねば・・・と思い立ち、文化庁メディア芸術祭に赴く。アニメ、ゲーム、マンガ、メディアアートなどの作品が一堂に会しており、メジャー作から学生の作るなんじゃこりゃ的なものまでいろいろあったのだが、一番すげーと思ったのはモリサワ FONTPARK 2.0というもの。一言で言うとモリサワ文字フォントを素材にして絵が描けるツール・・・なのだが、もともと意味を持つ「文字」が次々と引っ張り出され、拡大縮小回転され要素を分解され、再配置されると文字そのものの意味が消え突如新たな意味が生まれてくるという・・・見ていて感嘆する作品ばかりだった。簡単そうだな、と思って自分でやってみると、すげー難しかったけど。

★先日著者の方には某会合でご挨拶をさせていただきました。

雑誌よ、甦れ
雑誌よ、甦れ
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高橋 文夫
晶文社
売り上げランキング: 59275

現代社会は「情報津波」が押し寄せ「ゲゼル社会=利益追求型社会」化している。そのような中にあって雑誌は自らの強みをどう規定し、どう戦っていくべきなのか。新聞・雑誌・Web等のメディアに長年携わった著者は、「雑誌は第一人称のジャーナリズム」といい、「雑誌編集プロセスで重要とすべき“3KG”(切り口/現場/書き出し3行」「雑誌が持つ5つの特性=5R(「Report:リポート」「Range:専門性」「Relief:安らぎ」「Reconfirm:再認識」「Rating:格付け」)」などの枠組みを基に、雑誌メディアの現状と分析を行っている。確かにここまで「雑誌の現在」について調べた本はなく、勉強になることばかりだった。ただ、本書はどちらかというと作り手の心構えに関して言及する部分が多く、実際に市場がどうなっているか、コンテンツビジネスが、情報流通がどう変容していくかという点については物足りなく感じた。

★だが実はここに、「雑誌」というメディアの難しさがある。総合週刊誌とファッション誌と趣味専門誌と学術雑誌とコミック誌をすべて雑誌という名前でくくってしまっているがゆえに、それぞれ扱う情報特性も異なれば最終的な利益追求の方向性も異なる。おそらく本書を読んだとき「アレ、これは俺の考えている雑誌と違うな」と思う人がけっこうな割合でいるんじゃないか。「雑誌」という単位で考えることの限界が来ている気がする。

アマゾン、電子ブックリーダー Kindle 2を発表、キングの独占新作も登場
2008年には50万台売れたともいわれているKindleの新機種が登場。なんかちょっとカッコよくなっててうらやましい。S・キングもKindle向けのみに新作小説を書きおろすなど、やはりラインナップの充実が米国での成功のカギといえよう。日本ではまったく予定がないのだろうか?

「集英社non-no」のサイト上に思わず買いたくなる!「立ち読みe-book」が2月5日より開始!!
4号立ち読みを見てみると、豪華なアニメーション表現に驚く。これは立ち読みの域を超えて、Webマガジンをきちんと作っているではないか。しかも読者の閲覧行動も把握し、マーケティング分析に役立てられるというのもすごい。他の「立ち読みデジタル雑誌」がPDFを利用し「紙面を使って効率的に」データを作ることを目指している中で、こちらのe-bookはWebならではのリッチな表現をきちんと追求している点が良い。

無料TV情報誌と地域の広告チラシをリクルートが無料でお届けします
まだ横浜・川崎のみの実験的なサービスだが・・・これは驚異。テレビ欄とスーパーの折り込みチラシ「のみ」を毎週金曜日にポスティングしてくれるという・・・「じゃあ新聞いらないやんけ」とほうぼうからツッコミが来そうだ。新聞販売店は地域ポスティング会社になるべき、と考えるなら、積極的にこの事業に参画してもいい気がするが・・・まぁ無理だろうな、新聞社との関係もあるし。

★というニュースを並べてみると・・・なんか、既存の流通の枠組みとまったく違うものが続々登場してきていることに改めて気づく。新しいから何でもよいわけではない。成功しているものを探すほうが難しいほどだ。とはいえ、既存流通の枠組みのみで考えることに慣れている私どもとしては・・・やっぱり焦る。

「社会保険庁」と円天の「L&G」はどこが違うのですか?教えてください。
わかりません。

2009年2月5日(木曜日) 相対性理論。

★今度のでるべんの会は、応募者多数につき懇親会の事前受付を締め切らせていただきました。なにとぞご容赦ください。勉強会そのものの席はまだございますので、ご希望の方はお早めにお申し込みください。

★昨日は他の出版社の人たちと雑誌とかデジタルメディアとかについてとことん話す機会があったのだが・・・やっぱり、大手版元の偉い人のところには、色々な情報が集まっているものだと驚くばかり。経験の差と言えばそれまでだが、自分の立ち位置の限界を感じる。

★あまり「昔話」は好きじゃないので本書もスルーしてたのだが、読み始めるとこれはこれで一気に読了。

ビッグコミック創刊物語―ナマズの意地
滝田 誠一郎
プレジデント社
売り上げランキング: 20740

 
「ビッグコミック」シリーズの生みの親である名物編集者・小西湧之助の人物評伝と言ってもいい一冊。娯楽系は分割した集英社が担い、あくまで学年誌が中心だった小学館の中にあって、彼は『ボーイズライフ』から始まり『ビッグコミック』シリーズ、そして後期には『FMレコパル』『Be-Pal』『サライ』などの情報誌に至るまでを立ち上げる。手塚治虫やさいとう・たかをなどなど並みいる巨匠マンガ家に一目置かれる存在ながらも、ほとんど表で語られることのなかった存在であり、私にとっては初めての話が多く興味深い一冊であった。やはり真の編集者とは時代がどうあってもブレてないものだ、と本書からは見てとれる。実際に接していた人たちは大変だったのだろうが・・・。

★雑誌創刊話につなげて、こちらにも一通り目を通す。

創刊の社会史 (ちくま新書)
難波 功士
筑摩書房
売り上げランキング: 50522

 
世界に100人の雑誌の村があったとしたら、還暦を迎えられたのは5人しかいない・・・。雑誌の休刊が叫ばれているが、もともと雑誌は短命なものだ。本書では圧倒的な事例をもとに「雑誌の創刊」を振り返る。特に創刊誌には編集者の勝手な思い入れと時代の空気がごちゃまぜになっており、その当時のライフスタイルを振り返るうえで大変参考になるのだ。「雑誌にもマーケティングを」なんて言うけれど、そもそも雑誌を出すことそのものがマーケティングだったんだよな、と思わされる。今は・・・そんな余裕もないし、流通もへたっているし・・・。

★一大書店チェーンの文教堂が大リストラを開始している。もともと文教堂はロードサイドの郊外型店舗を中心の業態としていたが、ファミレスをはじめロードサイド店舗型ビジネスが苦しくなってきていた時期なのである程度のスクラップ&ビルドはしょうがないと思っていたのだが、こっそり「閉店候補リスト」を見て・・・ええっ!あそこも!?みたいな店も挙がっていて驚愕。

勝間和代のITマーケットウォッチ:マスメディアの広告モデルが生き延びる道
母ちゃんに「宿題やったの?」って言われて「うるさいな!やるよ!」といらだつ小学生・・・の気分になったコラム。「マスメディア本体の中の一部門では、なかなか新しい形態の広告モデルを立ち上げることはできない」・・・その通りだと痛感してるよ!わかってるがな!

ネットの遊び場SNS 進化迫られる「ミクシィ」
広告依存比率が高いmixiに対し、ケータイでアバター等の有料課金モデルに移行したGREE。収入源がひとつだけだと確かに経営としては安定しない。昨今「ネットは無料モデル」というのに陰りが見え始め、皆が有料課金モデルを模索している。・・・すでにパソコンのWebサイトはテレビと一緒で「無料で見るもの」とユーザーにはインプットされちゃっているかもしれないけど、今こそ誰か少額決済の仕組みを作って一気に普及させてくれないだろうか。

国内の出版社サイトの3割以上に「検索機能がない」、出版社専用のWebサイト管理システムが登場
中小出版社向けのWebサイト管理システムHONDANAの紹介。ニッチな市場だけど、出版社の数は5000社ともいわれており、ほとんどが社員数名以下の零細企業。デザインも何もないシンプルすぎる設計だけどこれで十分と言えば十分だ。Webサイトに「カネをかけすぎてはいけない」のは最近自分も肝に銘じているところ。やろうと思えばいくらでも出来てしまうがゆえに、無駄遣いは禁物だ。

ネット書店購入者の約8割がレビュー参考、理由は「ある程度内容が分かる」
私も、本文の一部立ち読みより読者レビューのほうが参考になる気がする。悪い評価が書き込まれていたとしても、ちゃんと論旨が明確なら「じゃあ私には合うかもしれない」と思うこともあるし。

マンガの「大人買い」に対応したECサイトが増加中–「巣ごもり消費」で利用は加速?
マンガが読まれなくなったわけではない。名作ほど人気があるから長期連載にならざるをえず、そうなると途中で気づいた読者が初めから読み返すのはとても大変・・・という中に、こういうサービスは確かに便利。所有したくない人はマンガ喫茶とかにいってしまうのだろうが。

★ネット界の文科系な人たちの間で妙に話題になっていた相対性理論にいまさら私もずっきゅんとハマってしまう。わかりやすいなぁ自分。

ハイファイ新書
ハイファイ新書
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相対性理論
インディーズ・メーカー (2009-01-07)
売り上げランキング: 56

 
カヒミカリイに続くウィスパーボイスの新星!とか言えばいいですか。このブームに関しては説明がうまくできないので、この記事にリンクをはってごまかします。

皆藤愛子ちゃんのデスクトップツール
花王Essential「カワイイをつくる.com」のキャンペーン企画だけど、絶対にダウンロードしてるのは男性のほうが多いと思う。あ、いや、私は・・・

2009年2月2日(月曜日) 「本」を所有するということ。

★いろいろあって更新が途絶えていました。申し訳ありません。

『月刊アニメージュ』の編集長に聞く 「出版不況に耐える定期刊行誌のあり方」
2009年最初の勉強会となるでるべんの会は、『アニメージュ』の松下俊也編集長に話を伺います。すでにご本人とは打ち合わせをさせていただきましたが、「アニメ業界におけるアニメ雑誌の立ち位置」を聞くことで、他の雑誌にも通ずる生き残り方が見えてくるのではと期待しております。皆様ふるってご参加ください。

★2009年の本屋大賞10作品がノミネート。一冊も読んでないのでよくわからんが・・・。大賞発表は4/6(月)。

角川書店:コミックチャージが休刊 出版不況で2年の歴史に幕
角川書店の大型創刊誌もついに休刊。明らかに読者ターゲットにされていた私は創刊号から数ヶ月間は毎号駅売店で購入していたのだが、あまりコレという連載がなく買うのをやめてしまっていた。「スピリッツ」「モーニング」「スペリオール」に加えて、もう一誌ラインに乗せるのは難しかった。ダジャレのようだが「週刊=習慣」がなければなかなか買えないものだ(チャージは隔週刊だけど)。

メディア・パブ:「安らかに眠れ」と新聞や雑誌の死を告げるサイト
米国の記事だけど・・・いやいや、日本も同じようなもんだ。笑えない・・・。

たけくまメモ:オンライン出版本を買ってみて
ここでも紹介した『まんが王国の興亡』だが、私はiPodTouchに落としてしまったがために、とにかく文字が小さいし読みにくいしで・・・なかなか読み進められない。いいから紙の単行本を出してほしい・・・。
こちらのエントリにもあるとおり、「紙のみ」「PDFのみ」「紙+PDF」と選択肢を設けて販売してくれればどんなに良いのか、と思う。

★カネを払って本や雑誌を購入するという行為は、見た目上は本という有体物の所有権を手に入れたこと、になるのだろうが、もう一方ではその本に書かれているコンテンツへのアクセス権を手に入れたこと、でもあるだろう。たまたまアクセスするためのウインドウの一つが紙なだけで、場合によってはそれがPCやケータイでアクセスできても良いのでは、と思う。最近「デジタル雑誌」「雑誌のデジタル化」について考える機会が多いのだが「紙かデジタルか」ではなく、両者が自然につながるようなものができないものか、というのが自分の課題の一つだ。