diary

2010年3月31日(水曜日) でるべんの会×不忍ブックストリート共催企画、ネットと「炎上」・・・etc.

不忍ブックストリート一箱古本市2010出店者が発表。5月2日(日)の特別養護老人ホーム谷中会場にて、でるべんの会として初出店することになりました。幹事一同本を持ち寄りますが全員古本市は初体験につきどんな本がどれくらい集まるのか今一つ私どもにもわかりませんが、ゴールデンウィークはぜひ足を谷根千方面にお運びいただけると幸いです。

★そして、その前に重要なのが、4/25(日)に開催される「不忍ブックストリート」と「でるべんの会」の共催イベント。「創業1周年記念:羽鳥書店のつくりかた」ということで、千駄木に独立し出版社を立ち上げてちょうど1年となる羽鳥和芳さんに、本づくりの思いから零細出版社経営から見た出版界に関して幅広く話していただこうと思っております。会場は羽鳥さんがご所属いらっしゃった東大出版会になぞらえて、ではないですが東大構内にあるS University of Tokyoというバーをお借りいたします。皆様奮ってご参加ください。

★読書力が落ちてるなぁと思う昨今。どうしても手に取りがちなのが新書のような気軽に読めるワンテーマものに偏りがちなのだが・・・そんな中でも、「Webと炎上」に関するテーマの新書を立て続けに読んでしまった。

ネットの炎上力 (文春新書)
蜷川 真夫
文藝春秋
売り上げランキング: 93360

J-CASTニュースの創業者がいかにしてネットニュースメディアを立ち上げ、ここまで成長させてきたかを記録しながらネットにおける情報の伝播力、影響力について描く。新聞・雑誌を経験した著者はカネも人もまったくかけられない同サイトにおいて「1.5次情報」を取り扱う方針を掲げ、メディア監視という視点から様々な「ネットの炎上事件」について取り上げ、または自らが炎上への「燃料投下役」となりながら、その影響力を増してきた。毎日新聞の「変態ニュース」事件のように、JCASTの記事が世間の人も知る事件に広がったこともある。著者も同書内で「現実の世論とネットの世論は違う」という趣旨のことを書いているが、まさに「ネットのほうの世論」形成に一躍買った当事者の話だけに興味深い。
 

 
蜷川氏がネット世論と「炎上」を好意的に捉えているのに対して真っ向から否定的な立場をとるのが中川淳一郎氏。彼の著書はけっこう好きで本書含めて3冊とも読んでいるが、普通の人はどれか一冊を読めば大丈夫だと思う(笑)。しかし中川氏の場合は某ポータルサイトのニュース欄で現場編集担当として、まさに燃えさかる騒動の中に放り込まれている人であり、炎上を仕掛ける人たちの生態を誰よりもよく知っている、といってもいいだろう。結局のところ、何をやってもいちゃもんつける人はつけるので「いなし方」を覚えましょう、ということなのだが。

★ネットメディアがどんどん増殖し、気軽に個人が発言できるCGMサービスがあれこれできてくると、それこそ色々な人がネット上で個人間のやりとりと変わらないように情報発信を始めてしまう。mixiやモバゲータウンのようなSNSで、みんなに見られる可能性があることの怖さを知らずに個人情報や犯罪まがいの行為を大っぴらに書いてしまう人や、気軽なつぶやきであるtwitterで失言を増殖させてしまう人など、今後もネットサービスの増殖によってどんどん似たようなことは増えてくるだろう。もちろん学校教育ですべてまかなえるわけではないけど、メディアリテラシーを高めるような教育は若いうちからきちんとやっておくべきだろうし、大人も大人社会の常識として敬語や電話の受け答え方を身につけるように「ネットでの発言の仕方」を常識として身につけるべきことなのだろう。もう15年くらい立つのだから、そういうカリキュラムがきちんとあってもいいわけで。

★「これってスレスレだなぁ、面白いなぁ」と思っているのがたぬきちの「リストラなう」日記。ある大手出版社の人が、まさに現在行われているリストラに直面して実際に行われていること、周囲の反応、思うことをつぶさに書いていて非常に興味深い。というか、これ内容をちゃんと読むと、どこの出版社かわかっちゃうんだけどね・・・。本人も中で書いてるけど、条件としては他社と比べるととても良くて、かえってうらやましいなぁと思うくらいなんだが(笑)。

2010年3月28日(日曜日) またまた久しぶりです・・・。

★本当にこちらは久しぶり続きで申し訳ありません。Twitterのほうでは@kajieで一日数回くらいツイートしてますので、そちらも併せてお楽しみいただけますと幸いです。

★組織改編に伴い翌月1日付で新部署に移ることに。基本的にはデジタル関係の業務を継続するが、どちらかというと今まではWebサイトと広告営業寄りの立ち位置にいたのが、電子書籍とライツビジネス寄りに重心を移すことになる。確かに昨年後半くらいから電子出版に関する動きは急加速しており、さまざまな団体が立ちあがったりなんだりしていて、せわしない。ケータイコミックが中心となっていたここ3年間の動きからどう変わってくるかに注目したい。

★そんなわけで「電子書籍元年」の現状ややがて上陸してくる「電子ブックリーダー」のことをサクッと知りたい人にオススメの本がこちら。こういうと申し訳ないが、装丁が妙にカルい感じがしてて不安になるが、中身は非常にバランスよくまとまっていると思う。

iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏 (brain on the entertainment Books)
西田 宗千佳
エンターブレイン
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表題通り日本にまだ来ていないKindleとiPadに関して評した本、ではあるのだが、米国電子出版市場を考えるにあたって抑える必要があるSONY Readerについてや、日本の電子出版市場の流れについてもきちんと論評がなされており興味深い。いたずらに不安を煽る内容の本が多い中にあって、本書の立ち位置は冷静だ。

★ここでも書いてるかもしれないが、こういう時代にこそ「黒船襲来」という煽りに必要以上に脅えないことが重要だ。すでにケータイ電子書籍の世界は400億円以上の市場はあるし、amazonなどのオンライン書店で本を買う習慣も根づいている。電子ブックリーダーは全く新しい概念ではなく、いまある出版サービスの延長線上にあるのだ。もちろんその中で出版社としてどうビジネスモデルを組み立てるかを考え、その中で必要な権利はきちんと取りにいく姿勢は重要だが、それは電子化に限らず必要な企業としての姿勢であると思う。

ディスカヴァーデジタルブックストアから目が離せない訳
私も立ち上がり当初に一冊買ってみて「やっぱり定価と同額はちょっとなぁ・・・」と思っていたら、一気に値下げの方向へ。この判断が長期的に正しいかどうかは、議論の分かれるところではあるのだが、個人的には500~600円前後の文字もの電子書籍は「ちょうどいい価格帯」な感じがしている。1500円の一般書に対して500円の文庫、というのがすでに紙の出版市場にはあるのだから(その下に「100円のブックオフ」というのもあるけど・・・)。だが、そうすると発売時期をどうコントロールするかが大事になってくる。ハードカバーが出てる時は定価の2割引きくらいにしておいて、文庫化されたら半額に落として・・・とか?

★そうすると「紙の本には再販制度があるけどデジタルのほうでは適用されない」問題が出てきてしまう。このあたりになってくると「出版社勤務の私」という立場では言いづらいことが多いのだが、優等生的にこたえるなら「紙のほうでも再販制度の弾力的運用を積極的に行うべき」だと思うし、それを実現する流通システム構築が今後必要になる、と思う。

池田信夫blog: 週刊ダイヤモンドの消えた特集
「Twitter特集」「FREE特集」で最近気を吐いている週刊ダイヤモンドが、今度は「電子書籍と出版業界」を準備していたが、直前に経営判断でボツになったという話。確かに電子書籍出版社協会にはダイヤモンド社も名を連ねているし、出版物の再販制度が出版流通に携わる人にとって「触れちゃいけないポイント」と思われてることも確かなのだが、だからって全く触れさせないという判断もいかがなものかなと思うのだが。編集部も「電子書籍のことだけを扱うくらいなら潔くすべてボツにする」という選択肢が本当に良いことなのかどうか・・・。どうにかして問題の記事を読むことができないものだろうか。

日経新聞電子版で考える「電子出版物の価値とは何か?」 - 磯崎哲也
日経新聞のWeb刊がスタート。「紙の購読料+1,000円」または「電子版のみ4,000円」という価格設定に批判の声がネット界隈では上がっているが、そういう人たちは、はたして幾らだったら「安い」と思ってくれるのだろうか。自分だったら・・・1日100円程度ならそんなものかな、と思うけど。というわけで後で購読してみることにします。感想は後日。

2010年3月7日(日曜日) 眠れなくなってしまった・・・。

★妙に変な時間に起きてしまったので、久々に週報でも書いてみる。

★昨日は「でるべんの会」の打合せ。昨年11月に10周年記念パーティを催してからずっと何も活動をしていなかったのだが、4月に入って立て続けに2つの勉強会を開催するつもり。一つは新潮社装幀室の方をお招きする予定で、4月15日(木)開催予定。もう一つは不忍ブックストリートとの共同開催で羽鳥書店の方をお招きする予定となっている。こちらは4月25日(日)予定。告知は近日中に開始予定ですので奮ってお申込みください。

@tsuda さん講演「Twitterが切り開く電子出版の可能性」中継のまとめ
日本電子出版協会の講演会で、津田大介氏の講演をtsudaるという暴挙に出てみた。テーマ設定がやや強引だった気がするが、最後に津田氏の考えている電子出版企画を聞けたことは収穫であった。

★自分自身が出版社の中で電子出版やWebなどの仕事をしていながら言うのも何だが、いわゆる出版ギョーカイの中の人が考える出版のデジタル化が、「出版コンテンツそのものをデジタルメディアで読めるようにすること」にとどまってしまうことに対する閉塞感を感じてしまう。Kindleが人々に与える価値の中で最も大きなものは、本がデジタルデバイスで読めることではなく「購入から閲読までの時間がすごく短くなった」こと、新たな購入導線を設計したことにあると思う。読書そのもののニーズは落ちてないが「本が多すぎて選べない」「ほしい本が見つからない」という不満は多くの人が持っている。そんな中にamazonは買ってから読むまでの環境をひとつの端末に詰め込んでしまった。

★日本の電子書籍市場はケータイを中心に発展してきているが、残念ながら書店のほうの売る力がまだまだ弱い。もっとレコメンド機能なりユーザとの連携機能なりを強めていかないと、単なるアダルトショップで終わってしまうのではないか、という危機感が自分にはあるのだ。SNSやTwitterといったコミュニティサービスとの連携を、既存の大手電子書店はもっと高めていくべきじゃないかと思うし、それらを活用することできっと日本なりの電子書籍マーケットはできるんじゃないかなと。