2010年7月14日(水曜日) 東京国際ブックフェア、本の学校シンポジウム、電子出版関連書籍レビューetc.
★「本の学校 出版産業シンポジウム」はおかげさまで今年も盛況に終わりました。来てくださった皆様、誠にありがとうございました。「本の学校のセミナーはどれもレベルが高い」というお褒めの言葉をtwitter上でも見かけました。重ねて御礼申し上げます。聴衆が出版産業従事者でこの手の問題に関心が高い人、というターゲットがはっきり絞り込まれている上に、利益追求で「客寄せ」をしなければという発想をする必要がないために、肩書き等にこだわらず本当に面白い話をする人、われわれ自身が話を聴いてみたい人をお呼びする、ということで、そのようなご評価をいただくことができているのかもしれません。
★そして、休む間もなく「でるべんの会」も開催、ということで「書棚と平台」の著者でもある、東京大学大学院の柴野京子様をお呼びすることになりました、が・・・なんと、この日記に書く前に、メーリングリストとブログだけで予約が殺到し、わずか数日間で募集を締め切らざるを得ない事態になってしまいました。誠に申し訳ございませんが何とぞ御容赦ください。
★それにしても、2010年の東京国際ブックフェアは「デジタルパブリッシングフェア」の勢いが例年以上に目立つものだった。特に、前日より電子書籍事業に関するプレスリリースを打ちまくっていた凸版印刷、大日本印刷のあたりは平日だと黒山の人だかり。であるが、個人的にはさほど目新しい技術やサービスはあまりなかったなぁという印象がある。どうしても出版社向けの「ソリューション」が中心の展示なので、読者が喜ぶようなわくわくする「サービス」があまり表に出てこなかったのかもしれない。
★本日は、ブックフェア等で販売、先行販売されていた出版産業および電子出版に関する書籍を一挙紹介。それにしても電子出版に関する論考を紙の本で読む、というこのことが、なんとも面白いなぁと思うのだが。
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「本の学校」の昨年度のシンポジウム内容がまとまった記録集。午前中のトーハン、日販、丸善等の経営トップが集まったメインセッションと、「デジタルコンテンツ流通インフラ」「自由価格本(リメインダー)」「リアル書店の役割」「責任販売・時限再販」に関する分科会の内容が収録されている。改めて読み返すと「あー、35ブックスってあったねぇ」とか、すでに懐かしいと思うことも多いけど、抱えている課題やノウハウに関しては、今でも十分に通じる内容かと思われる。
実業之日本社
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今年の本の学校でメインセッションのコーディネーターを務めていただいた仲俣暁生氏も編集に携わる「ウェブ時代における新しい本の生態系」を探る。上記『出版産業、改革待ったなし!』本が「既存出版産業の改革」を描くのに対し、本書で示す「本」は、決して既存産業に縛られるものではない発想からスタートしている。かといって、「iPadで出版が変わる」といった表層的なイノベーション礼賛本でもない。ここで描かれる「ウェブ×出版×図書館=新しい本の生態系」という未来像がどこまで実現できるか、誰がそれを担うのかはわからない、が、数十年くらいたった時に「ああ、あの時言ってたことは本当だった」と評価されるんではなかろうか。
ポット出版
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前述の仲俣氏に加え、「本の学校」の運営委員会中心メンバーの文化通信星野氏、東京電機大出版局の植村八潮氏、ポット出版の沢辺均氏らが一度に出演。2月に行われた「2010年の『出版』を考える」に加え、Web等のインタビュー原稿等を収録した非常に読みやすい一冊。沢辺氏は常々「電子時代になって出版社がいらない、というのならそれはしょうがない」と語っている。「石油を使うようになって、石炭会社のほとんどはなくなった。DTPの時代になって出版社は次々と製版屋や写植屋をつぶしてきた。次は出版社だというのならそれは時代の流れだ」という氏だが、その一方で「出版はとっても面白い状況になっている」(本書前書きより)のだ。そのわくわくする感じは、本書を読むことでも伝わってくる。

『電子出版の構図~実体のない書物の行方』(植村八潮/印刷学会出版局)
最後に、「本の学校」シンポジウムで電子出版に関しての分科会にご登場いただいた植村八潮氏の単著を。印刷業界の専門誌に12年にわたって連載された原稿を時系列にまとめたものだが、これを読むと電子出版の隆盛と動乱が今に始まったものではなく、形をかえて再三起こってきたもの、その中で環境の変化や出版市場の変化に合わせて、徐々に形を変えつつある状況が非常によくわかり、勉強になる一冊。ITジャーナリストの佐々木俊尚氏からは「守旧派の代表」として批判を受けている氏だが、本書を読むといかに植村氏が冷静な判断のもとに「紙の本の重要性」を訴えているかがわかるだろう。
ただ、本書がいまだにamazonに書誌情報すら載っていないのはいかがなものか(かろうじてbk1には書誌情報が掲載されている)。小出版社だから手が回らない、ということなのかもしれないが、上記の書籍がきちんとした情報掲出を行っているのに対してみると、残念な、というか脇が甘いとしか言いようがない。ブックフェアで先行発売するくらいならそこまで考えないと。












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ピンバック by 本の学校みなさんしっていました? | 書評ブログ — 2010/10/8 金曜日 @ 21:26:00