diary

2011年1月10日(月曜日) IDEOS購入、元新潮社宮本氏が語る出版業界の裏話、Android 3.0から電子書籍ビューワアプリ標準搭載・・・etc.

★3連休の初日・二日目は一日12時間以上眠り続けてしまい同居人が驚くほど。先週は妙にテンション高く働いてしまっていたのと、週末にちょっと予期せぬごたごたしたことがあり気分的に落ち込んでしまっていたので・・・寝ることで少しは解消できた、かな。

★木曜日に届いたIDEOSを自宅でごにょごにょいじって、ようやく使えるようになった。

 
現在は光ポータブルの接続用に使っていたイーモバイル回線を使って接続。最初は接続の設定(APNって何だろう?とか)や、日本語入力の設定などにいろいろ頭を悩ませるも、ネットで情報を拾っていじってたら、ほぼ大丈夫な感じになった。まず、モバイルルータとしてはすごく簡単に設定ができて使用できるので申し分なし。会社のiPadを使って速度テストをしたら、下り2Mbps強くらいだったので、まぁまぁ満足。また何より、初めてのAndroid端末ということもあって、カレンダーやGmail等の連携が一瞬でできてとてもわかりやすいのは嬉しい。SDカードを挿入してないのでカメラとかの機能をまだ使いこなしてないが、それも早いところ購入して試してみよう。
ただ、やっぱり2.8インチサイズの液晶は小さすぎて、目が疲れてしまう。やっぱりこれをメインのスマートフォンとしてiPhoneの代わりにと考えるのはつらいかなぁ。ガラケーの代替、あるいはモバイルルータの高機能版、と考えると面白いと思うけど。しばらくはおもちゃとしていろいろいじってみます。 

元新潮社編集者・宮本和英さんが、出版業界の裏話を語る語る。
新潮社をやめた名編集者が、当時の営業とのやりとりの模様を明かし話題に。これを見て「出版社の営業はアタマが固い」ってみんな思うんだろうなぁ。でも、結局のところ、nicoraに関しては若手の営業が細かな指定配本作業を行ったおかげで雑誌としては成功に導かれ、猪木の本も数万部は刷って売れたわけだから、きちんと営業を説得して動かしてるわけで、失敗で終わっているわけではない。そういう意味では新潮社の営業はまだ柔軟なほうなのかもしれない。

★基本的に、今やどんなに優秀な編集者でも、企画が百発百中ということはありえない。2勝3敗5分くらいなら「あいつはヒットメーカーだ」って社内では思われるんじゃないだろうか。編集としては常に「この企画はすごい、当たったら大きい」と考えるものだし、反対に営業は「この企画が外れた場合、どれだけ損失を小さくするか」ということを考えるだろう。

★じゃあ、もっと他の業種に習いマーケティングをしっかりすればいいのでは、という声もあるが、比較的規模の大きな雑誌ならともかく、少人数で作れる書籍ならば、「考える前に最低限の部数を出してみる」というのも一つの「出版的マーケティング手法」なんじゃないかと思う。大事なのは出した後の反応で、そこから店じまいするかきちんと売り伸ばすか、あるいは大々的に宣伝して一気に広げるか、ということを考えていけばいいんじゃないか。amazon等のオンライン書店や、大手取次のPOSデータを使えば「既存の出版流通上で」できることはまだまだ多いと思う。

★で、次の段階で問題となるのは「既存の出版流通とは違うところで」どうやって本を売っていくか、ということなのだと思う。取次を介さない直接販売のルートや、電子出版のルートもそこに含まれる。これはおそらく出版社の刊行ジャンルや業態によって異なっていくので、それぞれ独自のノウハウを積み重ねていくしかないんじゃないかと。

米Google、次期Android 3.0から電子書籍ビューワアプリ「Google eBooks」を標準搭載
実は電子書籍流通プラットフォームの中で自分が一番注目しているのはGoogleだったりする。ビューアも独自で標準搭載か。対応フォーマットはePUBとPDFだろうか。

2011年1月6日(木曜日) 『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』、勝間和代の「桃鉄」論・・・etc.

★仕事復帰2日目。まだ世間が本格的に動いていない中、「夏休みの宿題を9月1日に片付ける子供」のようにしてひたすらデスクワーク。煮詰まってきたところでつい、前回の記事で書いたIDEOSをamazonで衝動買いしてしまい「kajieさん何台似たようなの持つんですか!?」と笑われる。だって・・・つい・・・。届いたものの設定に思い切り手間取りまだ満足に使えていない。とりあえず週末にいじろう。

★電子書籍をテーマにした本が多すぎて、はっきり言って読み切れない。しかし本書は別で一気に読了した。私のように「既存出版産業の中で電子出版の業務に携わり始めた人」は是非読んでほしい一冊。

電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ (ビジネスファミ通)
西田 宗千佳
エンターブレイン
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「よくここまで、ワタシの言いたいことを代わりに言ってくれた!」と感謝の言葉を捧げたい。本書で書かれているのは、主にiPad登場以降の話。シャープやソニーなどの電子書籍端末の登場、“事業仕分けの対象”となった総務省の電子書籍推進関連事業の実態、出版社や作家に降りかかったことなど・・・2010年の「電子書籍元年」がどのような状況だったか、何が課題で何が誤解を生んでいるか、中での騒動から苦労まで、実際に出版社の中で電子書籍の業務に携わっている人達からすると「まさにそうだよね」と思うことばかり書いていただいている。もう、今後は「業界内の出来事を説明する役」は西田さんにお任せしよう。

★私は最近よく周囲で「昨年は『電子書籍元年』というけど、実際は『電子書籍(を語る)元年』だったんです」と言うことが多い。今まではごく一部のジャンル、一部の人たちによって進められていた電子書籍と言う存在が突如派手に持ち上げられ、私たちはあちこちで「電子書籍とは何か」を「説明」する機会に追われていた。経営者、社内の編集者、さまざまな著者や外部の事業者に・・・。それはそれで一定の成果はあり、徐々に電子書籍の体制ができつつあるのだが、その結果、自分たちがどこまで「いま実際に」電子書籍を成功させたかと言われれば、大きく疑問が残る(制作コストの回収ができてないわけではないが、事業として自立しているというにはまだ程遠い)。やろうとしてやれてない、思うように進まず暗礁に乗り上げている企画が何本あることか。

★ただ、まだ決まったものが何も見えてない現状では、やはり一つ一つ話をし、要望を聞き、お互いのやりたいことをぶつけ合うことが必要なのだと思う。そういう意味ではまだまだ「語る」仕事は必要だし、ギョーカイ全体として整備のために話し合う仕事も必要だろう。それがこの本によって皆の知識や意識のレベルが近づき、より深い議論に進んでいければ嬉しいと思う。

★ただ、電子書籍業務に直接従事してない人からすると、本書は「だから何?」と思うことが多いかもしれない。ソニーの社員全員が3Dテレビの技術について細かい知識を持っているわけではないように、専門家じゃない人には「三省懇の結果提唱され実証実験に移る中間(交換)フォーマットの話」なんてのはあまり必要がないんじゃないかと。

ブックビジネス2.0 - ウェブ時代の新しい本の生態系
岡本 真 仲俣 暁生 津田大介 橋本大也 長尾真 野口祐子 渡辺智暁 金正勲
実業之日本社
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書き手とか作り手とか、あるいは「電子書籍が作る未来の世界」を知りたい一般の読者とかは、やっぱりこちらを読んだほうがいいんじゃないかな。本書が提唱する「本の未来」は、『電子書籍革命の真実』で挙げられている未来よりも、もっと先のほうの未来を見据えている。これはこれで、重要な視点だと思うし。

勝間和代さん、Twitterで「桃鉄」論を語る
勝間和代さんが「桃太郎電鉄」について熱く語っているツイートが面白い。私は「桃鉄」にはあまりハマったことがない(小学生の時はファミコンで『鉄道王』をずいぶんやってた。懐かしいなぁ)けど、この手のボードゲームは好きなので・・・。子供と遊ぶゲームにも、そこまで戦略的分析を働かせているとは、さすがの勝間節。 しかもその後まだまだ書ききれないことがあるとおっしゃっているので、ここはやっぱり攻略本とか作ってほしい!

2011年1月4日(火曜日) 今日から仕事復帰、『超ヤバい経済学』、グルーポンおせち騒動、IDEOS、電子書籍の本命はメルマガ・・・etc.

★本日から仕事復帰。今日中にやるべきことをToDoリストに書き出していたら、あまりの量にくらっとしてきた。「ま、年明けでいいか」と先送りしてたことがこんなに・・・。

★年末年始は、多くの人がそうであったように、大して遠出もせず酒ばかり飲んでいた感じ。紅白歌合戦や箱根駅伝をTwitterでつぶやきながら観る、というのはすでに正月の風物詩になってきたように思われる。

★正月の読書はこちら。ずっと積ん読だったのだが、なんでもっと早く読まなかったのかと後悔する。

超ヤバい経済学
超ヤバい経済学
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スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー
東洋経済新報社
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インドの農村ではテレビの普及に合わせて出産率が低下し女性の地位が向上した、猿に貨幣を教えたら売春行為が始まった、医者が本当に診察の合間に手を消毒している割合はたったの9%だった(自己申告させたら73%だったけど)、6歳以上の子供にとってチャイルドシートはシートベルトよりも安全ではない・・・風俗から環境問題に至るまで、あらゆる事象に対し経済学的手法で軽妙にメスを入れていく本。昔から社会心理学とか行動経済学とかには興味があったので、こういう話は非常に面白い。ただ、本書でも認めているけど、こういった学問は化学や物理と違って法則性を抽出することはとても難しい。これらの実験は結論を導き出すのではなく、何かを考えるきっかけにする、程度がよかろう。

グルーポンで買ったおせち料理が「見本と違う」と話題に! 腐っているという報告も多数
2011年初頭を飾るにふさわしいネット事件。その後、店舗のゴミ箱を漁って食材の納品書を見つけ出し食品偽装を突き止めた人がいるなど、久々に市民ジャーナリズム(とカッコイイ言葉で言っていいのかわからんが)が発揮されている。GROUPONはCM大量露出を行い急激な拡大を続けている時期であり、店舗側もサービス運営側もちょっと無理が過ぎたのだろう。一部の心ない事業者のために「だからフラッシュマーケティングって怪しいんだよね」という空気が作られないことを祈るばかりだ。

★しかし、改めて思うのは・・・フラッシュマーケティングというのは、一時的に原価を割る激安価格を提示して集客をするのは宣伝費用を別途かけるよりも効率が良い、という発想から来てると思うんだけど、だったらあらかじめ定価を高く設定しておいて安売りしても利益が取れるようにしよう、と考えたくなるんじゃないだろうか。本の世界も、もし今後再販制度が崩れたり、電子出版流通が本格化して本の定価販売制度が実質的に崩れたりしてくると、出版社は意図的に本の定価を上げると思う。それって、本当に顧客に対して良いことなんだろうか。

「IDEOS」初体験レポート、 SIMロックフリーAndroid端末にはまる
この日記で沈黙を保つ間に、GALAPAGOSだのSONY ReaderだのGALAXY Tabだのといった端末が登場して興味をひかれているわけだが、実はいま一番気になるのがこのIDEOS。小さいけどAndroidスマートフォンとしての機能は十分そうだし、モバイルルータとしても使えるようだし、何より安い・・・! 結婚式以降緊縮財政を強いられている我が家だが、これくらいなら・・・大丈夫じゃないかな・・・。

★ホリエモンが自身のブログで電子書籍の本命はやっぱりメルマガだと書いている。これは本当にその通り。電子書籍の世界が端末や規格をいくら決めようが、結局のところはコンテンツがすべてを左右するわけで。メルマガのデメリットはDRMがかけられない点や、表現力が乏しい点にあるが、定期購読の仕組みが確立しているという点でのメリットは何より大きい。もちろん、月840円で万単位の読者を抱えられるのはホリエモンのようなごく一部の著名人しかいないだろうけど。

2011年1月1日(土曜日) 毎年ながらの一年の計。

★明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

★昨年はこちらの日記更新を完全に止めてしまいまして申し訳ありませんでした。昨年は新しい部署を率いて電子出版をはじめとする出版社の新規事業に対する取り組みを行うとともに、プライベートでは結婚という最大のイベントを迎え、今まで以上にどたばたしていた一年だったと思います。それなりにうまくいったこともたくさんありますが、色々なところに手を広げてしまった結果、あちこちに迷惑をかけてしまったなぁと反省することも数多くあります。今年はもうちょっと、自らの活動に「選択と集中」を突き詰めていくこと、その場しのぎでさばくのではなく、先手先手で企画を立てたり周囲と交渉したりしていかなければいけない、と思っています。

★「電子書籍元年」と言われた2010年に対して、今年は何と言われるのでしょうか。iPadブームも下火化し、電子書籍サービスもこれはというものが登場しなかった中にあって、すでに「電子書籍ブームは終わった」と言われることが昨年末あたりから少なくはないのですが、私はそんな流行り好きITマーケッターの言うことに、そのまま振り回されるわけにはいきません。「出版社がどうやってデジタルメディアを活用して自らの業態を広げていくことができるのか」というのは自分にとってずっと変わらないテーマですし、その手段の一つとして「電子出版」というものを活用していくことが、今年はこれ以上にもっと求められていくのだと思っています。

★ただ、その分自分がただでさえ苦手な広告やEC、その他のメディア事業に対しての情報収集が弱くなっていたかもしれません。そこは昨年の反省です。今年は特に動き出している企画もあるので、もっとそちらの方向の情報もきちんとつかまえ、自分の仕事に落とし込んでいければと。

★また、この「週報」に対するスタンスも、開始より10年を迎えるにあたって、大きく変更しようかと思っています。というのは、特に今年は自分が会社の中でも管理職という立場であったり、業界団体の中でも活動をする立場になったりして、「実名」での活動が盛んになってきていて、そのために「匿名」でやっていたこの週報で書くことが非常に制限される思いが強く、その結果が筆を鈍らせる一つの大きな要因になっていました。

★しかし、今年はもう少し積極的に「書くこと」を復活させたいなと思っています。自分自身にとって、書くことは自分の考えを整理したり、他者の視線を意識しながら柔軟に考えを変えていったりするための重要な場です。この場をもう少し有効に使うためには、あまり「実名か匿名か」ということにこだわらずにここを使っていければと。ただ、あくまでここは「個人の意見をあげる場」なので、私が属する組織や団体の意見と必ずしも一致するわけではありません。何とぞ御容赦いただければと思います。

★それと、今年は「酒量をおさえる」というのも目標に立てておこうかな・・・健康のためと節約のため。

2010年10月11日(月曜日) 結婚しました。

★まる2か月放置していて久しぶりの更新の中、こんなお知らせで恐縮ですが、昨日入籍いたしました。相方とは6年近く付き合い、昨年から一緒に住んでいたので特に大きな変化があるわけではありませんが、これから一緒に頑張っていこうと思いますので、宜しくお願いいたします。

★その昨日というのは日曜日ながら「2010年10月10日」というゾロ目のわかりやすい日で、しかも大安という良い日取りだったこともあって、この日に入籍するというカップルは非常に多かった模様。我々もまずその数日前に婚姻届を取りに行ったときに「休みの日はどこで受け付けてくれるんですか?」と区役所の人に訊ねたところ「あー、10月10日に出されるんですね?」とずばり言われてしまったので相当多いのかなと。

★で、当日。せっかくだから「10時10分」に出しに行ってみようかという話になり、最寄りの区役所まで出向いてみたところ・・・やはり似たようなカップルが5~6組うろうろしていたのだが、その中でもひときわ目立ったのが、時間外受付の前に陣取っている人達で「あ、僕たち、10時10分10秒に提出しますので!」と周りに言って回っていて、きちんとビデオカメラも持ち、ケータイの時計を開いて「証拠映像も撮るぞ」という意気込みにあふれていた。すごいなぁ、こりゃ負けるなぁと。

★そして10時10分。先ほどの「10秒提出したい人」たちが「じゃあ出します!お願いします!」と受付の人に言ったのだが、ここで事件が。彼らはどうやら夫婦本人ではなく、友人か誰かが代理で来てたようだったのだ。おそらく、10日当日は結婚式で、友人たちが代理で10時10分10秒に婚姻届を提出しに行き、その模様を式で流す・・・という趣向を考えていたのだろう・・・。しかし、たまたま受付にいた人があまり馴れてない人だったのか、「あ、本人じゃないの?ええーと、そういうときは・・・どうすんだっけ・・・」と一度ひっこんでしまったのだ! 残された二人の放心した表情といったら!

★という方たちが前にいたこともありまして、私どもの入籍は10時16分くらいになってしまいました。ま、どこにも記録されるわけじゃないんだけどね。

2010年8月11日(水曜日) 「リストラなう!」と「傷だらけの店長」

★出版ギョーカイのことをウオッチしている(というか濁流に溺れている)私としては、やはりこの2冊を並べて取り上げないわけにはいかない。

リストラなう!
リストラなう!
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綿貫 智人
新潮社
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 某大手出版社で起こった早期退職優遇制度。40代で営業職に務める著者は、わずかな逡巡のうえ、会社を辞めることを決意する。そこからの日々を丹念につづったたぬきちの「リストラなう」日記には、様々な業界関係者や一般人などが集い、コメント欄は熱い議論と批判と称賛の声があふれかえった・・・本書はそのブログの文章、コメント欄を単行本化。新潮社が「電車男」に続けと、本書の刊行に手を挙げたというのは面白い。
 本書、というかこの著者の魅力は、「大企業病に罹っていることを自覚しながら、そのことをブログで自らを晒すことによって変わろうとし、もがいている」ところにあると私は思う。確かにこの会社の給料は高いし、こんなに優遇されてる「リストラ」なんてないと思うし、そもそも彼は会社のアレコレを「批判」するだけで、社内で何も改善に向けて動いていない(ように見える)。でも、それは多くの企業従事者は多かれ少なかれ思い当たる節があるんじゃないだろうか。
 たぬきち氏は、会社の歯車の一員として動いてればいい状況下で生じていた、甘えや無知、無自覚といった、普通なら後から気づいたら恥ずかしくて隠したいようなところまでも全部さらけ出し、読者の辛辣なコメントにも愚直に向き合って凹んだり舞い上がったりする。見てて、なんかこちらも恥ずかしくなる。だけど、これって自分も同じような状況なんだ。自分は単に恥ずかしいところを隠して取り繕ってるだけなんだ。
 

傷だらけの店長 〜それでもやらねばならない〜
伊達雅彦
パルコ
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 ある書店チェーンの雇われ店長として働く著者は日々激務と格闘している。さばききれないほど増え続ける商品、理不尽な客、万引との戦い、手のひらを返す対応の取次や出版社、現場の意向を汲まずにコストカットとノルマ達成を厳しく追及する本部・・・くじけそうになったり、頭に血が上ったり、自問自答を繰り返すたびに、著者は「本を売る喜び」を思い起こし、「それでもやらねばならない」と無理に気持ちを奮い立たせるのだった・・・ある大型書店が、すぐ近隣の駅前にできるまでは・・・・・・。
 本書は出版業界紙「新文化」に連載されており、その当時から「業界新聞でこんなの載せるな」「現場店長の心情が痛いほど伝わる」と賛否両論が巻き起こる問題作であった。いま、改めて単行本となった本書を読みかえすと・・・これは単なる「書店現場のブラックな現場告発」を読みとるだけのものではない、という風に私は感じた。本書から非常につらいほど伝わってくるのは「わかっているけど、できない」ことの積み重なりだ。これも程度の多寡はあれ、社会人なら誰でも感じていることだろう。会社や顧客からの理不尽な要求、明らかに誤りで負けると分かっている博打に突っ込んでいかねばならない状況、その時のやるせない気持ち、無力感、焦燥感・・・これは出版ギョーカイ告発本としてではなく、ある種の「文学」として読み継がれるべき本ではないだろうか。

★本書2冊がほぼ同時に出版された、というのは偶然とはいえ非常に面白い。単に「大手出版社は今も好待遇で書店は完全に破綻している」という縮図を読みとるだけなら簡単だ。そもそも両書の装丁の雰囲気が切迫感の差を象徴している、とも言えるだろう。とはいえ、どちらにも共通するのは、今まで続いてきた出版流通の構図が崩壊し、濁流が巻き起こる中で慌てもがく個人の姿だ。私自身、まさに出版の中にいるのでこの抗いようののない流れを切実に感じ入る。自分も木の葉のように流され続けてるだけだ。しかし、伊達氏から「何を甘いことを」と失笑されそうだが、少しでも、何か流れを変えることはできないのだろうか、自分が溺れないよう振舞うだけでなく、少しでも流れを治め整えるることはできないのだろうか・・・と日々思い、僅かながらも声を張り上げたり濁流に飛び込んだりしている・・・というかしていきたい。
 これは出版に限らず、いま日本のありとあらゆる産業の中で起こっている事象なのだろう。できれば単なる「ギョーカイ本」としてではなく、広く一般にも伝わるものとして読まれてほしいと思う。

2010年7月28日(水曜日) リュウドの折りたたみキーボードがiOS4に相性良し!

★自分の中でのiPadブームが一段落してしまい、デジタルガジェット熱も少しさめたかな、というところに・・・これが届いてしまって大興奮(いや、もちろん自分で買ったんだけど)

リュウド アールボードフォーケイタイRBK-2100BTJ Ver.2.1(Bluetooth HID、JIS配列) RBK-2100BTJ
リュウド (2008-07-18)
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おすすめ度の平均: 4.5

5 最高です!
4 初めてのキーボード
5 これは使いやすい
5 i-phoneでも使えます
5 iPadでも使えます。

 
ちょうど「売れ行き2倍」 iOS 4でリュウドの折りたたみキーボードが品薄にというニュースを見たり、ホリエモンが愛用していることを知ったり、ということで気になり注文。運が良かったか私は待たされることなく数日で届いた。ちなみに私はJIS配列のほうのを購入。

WindowsのキーボードをMacで使うことによる違いとか、iPhoneの変換がPCと違うとかで若干戸惑いはあるけど、とにかく入力はすごく快適。また、何せ折りたたみ式でたたむとちょっと厚めの文庫本くらいのサイズになるので、鞄の中に常に忍ばせておくことも可能。Bluetooth接続なので、最初に一度認識させておけば、あとはiPhone立ち上げてキーボードを開けば自動的に接続して使えるようになる気軽さ。

講演会とかで机アリの席に座れれば、Twitter中継が格段に楽になることだろうと思われる。また、Evernoteでメモを取る機会もけっこう増えそうだ。ていうか、これの登場でポメラがヤバいよね。もちろん起動の早さなどではかなわないけど、携帯性の面ではまさに互角。

まだ買ったばかりなので、電池(キーボード本体に単4電池2本必要、別売)の持ちがどれくらいになるのかなど、自分でもわかってないことが多いが・・・iPhoneユーザも増えてきた今、また新たなジマンのタネができたということで。

★とはいうものの、こないだ某女性誌の編集長と立ち話してた時、「iPadはすごく編集作業に使える。特にスタッフと一緒に撮影した写真を並べて粗選びして大ラフを構成するときとか、明らかにiPadを使ったほうがやりやすい」と話していた。なるほど、そういうこともあるのか。他にも「ケータイでメール受信してその場でPDFファイルを見られるのは外で原稿確認したりするのに使える」と言う人も多く、編集者は続々とiPhone/iPadユーザに変わりつつある、といえそうだ。

★と、デジタルものに興奮してしまったので、印刷会社が手を組んだ「電子出版制作・流通協議会」や、同日に発足した「デジタル教科書教材協議会」に関してはあまりコメントする気がなし。関心がないとかではないのだが、何せこれだけいろんな団体が出てくると、今後整理や棲み分けが必要になってくるだろうし、しばらくは意見交換程度の役割が中心で、ここで何かを作る、という感じにはならないだろうから。

★その「電子出版制作・流通協議会」の懇親会でお偉い方々の間をうろうろ歩きまわっていたら植村八潮さんを発見。というわけで『電子出版の構図』の話をちょっとだけする。

電子出版の構図―実体のない書物の行方
植村 八潮
印刷学会出版部
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前回書いた時はまだamazonに書誌情報があがっていなかったが、今見ると・・・品切れになってるぽい。大丈夫かこの出版社は!でも改めて本書はオススメ。出版の電子化に関する「騒動」は大なり小なり十数年前から連綿と続いてきたのだな、という、歴史というか「流れ」が見える。